金匱要略
きんきようりゃく
中国の古典医学書。正式には『金匱要略方論(ほうろん)』。全3巻。張仲景(ちょうちゅうけい)の撰(せん)とされている。通説として、張仲景の『傷寒雑病論』16巻のうち、『傷寒論』10巻を除いた『雑病論』6巻が『金匱要略』であるといわれている。北宋(ほくそう)の仁宗(じんそう)(在位1022~63)の時代に、王洙(おうしゅ)が図書館で『金匱玉函(ぎょくかん)要略方』3巻を発見、上巻は傷寒を弁じ、中巻は雑病を論じ、下巻は処方と婦人の治療が記録してあったが、不備なものであったので、林億(りんおく)らが勅命によって付加・削除して『金匱方論』3巻を編したという。そしてこの書から雑病だけをとり、これに諸家の経方書からとったものを加えたのが今日の『金匱要略』3巻であるとされている。
[山本徳子]
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金匱要略 (きんきようりゃく)
Jīn guì yào lüè
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
金匱要略
きんきようりゃく
Chin-kuei-yao-lüeh
中国の古医書の一つ。後漢末の張仲景の著書といわれる。現存するテキストは宋代に林億らにより校訂されたものである。
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世界大百科事典(旧版)内の金匱要略の言及
【傷寒論】より
…この書の処方は現在でも用いられているが,その使用法は原本とは違うことが多い。また,もとは《傷寒雑病論》という書があり,そのうちの傷寒の部分に相当するものがこれであって,残りが《金匱要略》であるという説もあるが,それほど簡単な関係ではないようである。【赤堀 昭】。…
【ヒステリー】より
…ヒッポクラテスもプラトンもヒステリーの病因としてこの考えを踏襲している。一方,中国の古医書,張仲景(2世紀末~3世紀初めころ?)の作とされている《金匱要略(きんきようりやく)》も,ヒステリーを婦人病とみなしこれを〈臓躁〉と称している。日本における近代精神医学の建設者である呉秀三がヒステリーを〈臓躁病〉と訳したのは,この用語を採用したものである。…
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