金鍾学(読み)きんしょうがく

百科事典マイペディア 「金鍾学」の意味・わかりやすい解説

金鍾学【きんしょうがく】

韓国の演出家,プロデューサー。忠清北道堤川に生まれる。慶煕大学新聞放送学科卒業後,1977年にMBCに入社。TVドラマの演出でたちまち頭角を現す。1991年,宋智娜(ソン・ジナ)・脚本,金鍾学・演出で,第2次世界大戦期から朝鮮戦争期の日本・中国・朝鮮を舞台に従軍慰安婦となった女性と朝鮮人学徒動員兵,東京帝国大学医学部で同じく学徒動員された朝鮮人学生の3人を主人公とした《黎明の瞳》(全36話)が,最大視聴率58.4%とヒット作となった。1995年MBCを離れて独立,SBSで放映した金鍾学制作・演出,宋智娜脚本の《砂時計》(全24話)が記録的な大ヒットとなり,人々が放映時間にあわせてこれを見るために帰宅するので〈帰宅時計〉といわれるなど社会現象となった。《砂時計》は1970年代の独裁政権時代から光州事件を挟んで1987年の民主化までの激動の現代史を,ヤクザとなった青年・検察官となったその親友・民主化闘争で傷ついた女性の3人の若者の友情を軸に描いた傑作で,日本でも広く知られるTVドラマとなった。光州事件の実写映像が初めて使われたことも話題となったが,宋智娜の緻密で巧みな構成の脚本と金鍾学のダイナミックな演出は,韓国ドラマ界の黄金コンビといわれ,韓流TVドラマの世界的な流行のきっかけとなった。その後も《大望》(2002年),《大王四神記》(2007年)などの話題作を世に送り出したが,金鍾学はプロダクション経営に行き詰まり,2013年7月ソウルで練炭自殺を遂げた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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