釣る(読み)つる

精選版 日本国語大辞典 「釣る」の意味・読み・例文・類語

つ・る【釣・吊】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. ( 吊 ) 上の物にかけてぶらさげる。つるす。
      1. [初出の実例]「こにのりてつられのぼりて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. ひっかけて上にあげる。引きよせてあげる。
      1. [初出の実例]「深きを鉤(ツリ)遠きを致し」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝院政期点(1080‐1110頃)一)
    3. 魚や虫などを釣り針や糸にひっかけて取る。
      1. [初出の実例]「松浦川(まつらがは)川の瀬光り鮎都流(ツル)と立たせる妹が裳の裾濡れぬ」(出典:万葉集(8C後)五・八五五)
    4. 気を引く物を見せたり与えたりしておびきよせる。さそいだす。
      1. [初出の実例]「きけばわごりょは此間きつねをつるときひたによって」(出典:虎明本狂言・釣狐(室町末‐近世初))
    5. 期待させる。気を持たせる。
      1. [初出の実例]「とてもならぬ事ならば、七日迄つらずとも」(出典:咄本・軽口露がはなし(1691)三)
    6. 駕籠(かご)などの乗り物をかついで宙に上げる。舁(か)く。
      1. [初出の実例]「毎日楽乗物つらせて出られしに」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)一)
    7. 高いところにわたしかける。かけ渡す。
      1. [初出の実例]「棚を吊ってくれたり」(出典:普賢(1936)〈石川淳〉五)
    8. 相撲で、相手のまわしに手をかけて、そのからだを宙に持ち上げる。
      1. [初出の実例]「梅も左には褌(まはし)を取り、右に敵の左を捲込み、吊らば、出腹ではじかうと」(出典:相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉常陸、梅時代から太刀、駒時代へ)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「攣」とも )
    1. 一方に引かれて寄る。引かれちぢむ。筋肉などが収縮する。ひきつる。
      1. [初出の実例]「スヂガ tçuru(ツル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    2. 一方の端が上へあがる。上に向く。つりあがる。
      1. [初出の実例]「濃い、細い眉は弔(ツ)ってゐるが」(出典:大塩平八郎(1914)〈森鴎外〉五)
    3. つながる。
      1. [初出の実例]「其身は格別忰が苦痛、又外外へどうつって誰が悲しみにならふやら」(出典:浄瑠璃・釜淵双級巴(1737)道行)
  3. [ 3 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙つれる(釣)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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