魚を釣る用具の一つで、単に鉤(はり)ともいう。最古の釣り針は3万~4万年前の後期旧石器時代(グリマルディ文化)の棒状骨角器とされる。「し」の字型の骨角(または貝)製釣り針は約1万年前の中近東(パレスチナのナトゥーフ文化)に出現した。中近東では「あぐ」(先端部の返し、あご、かえし、もどしともいう)付き「し」の字型の銅製釣り針が紀元前3000年前後(メソポタミアのジェムデト・ナスル文化)につくられた。世界各地でのあぐ付き「し」の字型釣り針の出現は、骨角(貝)製も含め、ほぼこの時期以降である。日本でもほぼこの時期(縄文前期)から、あぐ付き「し」の字型の釣り針が使用された。東アジアで鉄製釣り針が普及し始めたのは前500年ごろから(中国南部の印文陶(いんもんとう)文化)であり、日本での普及はさらに遅れた。
漁獲が経済上重要である諸民族では、魚種・漁法により形や材料の異なる釣り針を用いるのが普通である。また民族によっては原形をとどめぬほど変形した釣り針型製品を交易用(アラビア海地域、ポリネシア)、装飾用(トレス海峡地域)に用いることがあった。
日本では、18世紀に擬似釣り針の記録があり、釣り針の型がある程度多様化していたことが知られるが、今日みられる状態に近づくのは19世紀に入ってからである。商業的漁業が多様化するこのころから、魚種による釣り漁法の分化と釣り針の特産地が形成されて、釣り針は高度な発展をみせ始めた。
[佐々木明]
『直良信夫著『ものと人間の文化史17 釣針』(1976・法政大学出版局)』
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