(1)人形浄瑠璃。時代物。3段。並木宗輔作。角書に〈七条河原〉とある。1737年(元文2)7月大坂豊竹座初演。大盗石川五右衛門を主人公とした松本治太夫の正本《石川五右衛門》(貞享ころか)や近松門左衛門作《傾城吉岡染》(1712)の先行諸作をふまえる。河内国枚方で鹿狩のそれ矢を拾った五右衛門は,その矢で傷ついたと称して乞食婆を母に仕立て,五十両をかたりとり,島原に遊ぶ。遊女滝川と馴染んだ五右衛門は,夫婦となり駆落する。柳の馬場の浪人宅に忍びこんだ五右衛門は,そこで先妻のりつとせがれの五郎市にめぐりあう。主人当馬之丞は枚方で五十両を奪われたとがで浪人しており,金の上包みから五右衛門と異父兄弟の間柄とわかる。意見された五右衛門は五十両を返し五郎市を連れ帰る。滝川のお滝は継子五郎市を日ごとせっかんする。お滝は過って五郎市に殺されるが,お滝の本心は五郎市が盗人の子の汚名を着るのを憐れみ,わざとつらく当たっていたものであった。お滝の父の訴えによって捕手に囲まれた五右衛門は,五郎市を抱えて逃れるが,藤の森で実父岩木兵部に義理をたてて捕縛される。五右衛門父子は京の市中を引回しにされ,七条河原で釜煎の刑に処せられる。中の巻の継子いじめと下の巻の釜煎のくだりが著名。(2)歌舞伎狂言。1756年(宝暦6)9月大坂姉川大吉座(角の芝居)で脚色上演。天明期(1781-89)には初世嵐雛助が五右衛門を演じ当り役となり,以来,五右衛門役は雛助代々の家の芸となった。本作の改作物である《増補双級巴(ぞうほふたつどもえ)》(1861初演)は,《釜淵》を元とし,犀ヶ崖(木下蔭狭間合戦),楼門(金門五山桐),壬生村・足利館(木下蔭),当馬之丞浪宅・継子責・藤の森・釜煎(釜淵)というふうに,並木五瓶の《金門五山桐(きんもんごさんのきり)》(1778)や《木下蔭狭間合戦(このしたかげはざまがつせん)》(1789)などをつぎはぎした作品で,現行演目となっている。
執筆者:小池 章太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
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