最新 地学事典 「鉄‒硫黄ワールド仮説」の解説
てついおうワールドかせつ
鉄‒硫黄ワールド仮説
Iron-sulfur world hypothesis
硫化鉄が有機物の生成・濃集,および進化の場として生命発生に寄与したという生命起源の一説。G.Wachtershauser (1992)が提唱。FeSのFeS2(黄鉄鉱:パイライト)への酸化(FeS+ H2S→FeS2 +2H++2e–)が二酸化炭素の還元機構として提案されたことから,パイライト仮説とも呼ばれる。この酸化還元反応は実証されていないものの,硫化鉄の生命起源への重要性は,さまざまな生化学的観点から示唆されている。例えば,系統樹の根元には独立栄養生物が多く分布しており,鉄-硫黄クラスターは酵素の活性中心として,電子伝達や触媒反応に利用されている。参考文献:G.Wachtershauser (1992) Prog. Biophys. Molec. Biol. , Vol.58 : 85
執筆者:北台 紀夫
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

