化学辞典 第2版 「酸化硫黄」の解説
酸化硫黄
サンカイオウ
sulfur oxide
【Ⅰ】一酸化二硫黄:S2O(80.13).二酸化硫黄のグロー放電,1.3 kPa(10 Torr)の酸素下での硫黄の燃焼で得られる.常温では不安定である.金属とは硫化物を,塩素,臭素などとはチオニル化合物をつくる.気体ではS2O分子が存在し,S-S0.1884 nm,S-O0.1465 nm.∠S-S-O118°.【Ⅱ】一酸化硫黄:SO(48.06).SO2,SO3などを紫外線照射して光化学反応により還元するか,H2S,CS2,Sなどを O2 と反応させると生成する反応中間体で,
SO → S2O + SO2
によりすみやかに壊れる.【Ⅲ】二酸化硫黄:SO2(64.06).[CAS 7446-09-5]【Ⅳ】三酸化硫黄:SO3(80.06).[CAS 7446-11-9]【Ⅴ】七酸化二硫黄(disulfur heptaoxide):S2O7(176.13).二酸化硫黄と酸素の混合気体を入れたオゾン管内で,無声放電させて得られる.無色の油状液体.融点0 ℃.無色の針状晶.10 ℃ で昇華する.室温で三酸化硫黄と酸素に分解する.【Ⅵ】四酸化硫黄(sulfur tetraoxide):SO4(96.06).二酸化硫黄と酸素との混合気体(1:10,全圧67 Pa(0.5 Torr))中で放電を行い,これを液体空気で冷却すると得られる.白色の固体.3 ℃ で溶け,酸素を放って七酸化二硫黄を生成する.強い酸化剤で MnⅡを MnⅦに,アニリンをニトロベンゼンに,ヨウ化物イオンをヨウ素に酸化する.[CAS 0-01-6:sulfur oxide]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報