改訂新版 世界大百科事典 「鉛鉱物」の意味・わかりやすい解説
鉛鉱物 (なまりこうぶつ)
lead minerals
鉛の原料鉱物として重要なものは方鉛鉱PbS(鉛86.6%)で各種の鉱床に産するが,セン亜鉛鉱と伴うことが多く,しばしば鉛・亜鉛鉱床として一括されている。鉛は地球上にわずかしか存在しないが,硫黄と結合する性質が強く,独立した鉱物として方鉛鉱をつくっている。鉛を含む硫塩鉱物も知られているが量は少ない。方鉛鉱は鉱床の酸化帯では大気中の酸素や二酸化炭素と反応して白鉛鉱cerussite PbCO3(斜方晶系,比重6.6,無色~白~灰,ダイヤモンド光沢),硫酸鉛鉱anglesite PbSO4(斜方晶系,比重6.3,鉛68.3%,無色~白~灰,ダイヤモンド光沢,微粒の場合は土状)に変わる。これらはときに鉱石に用いられる。ヒ素,リン,バナジウムを伴う鉱床の酸化帯では,これらの元素と鉛を含む二次鉱物が生ずることがあるが,産出はまれである。日本の鉛の鉱床は神岡鉱山,対州鉱山など多く,亜鉛とともに比較的豊富な資源である。
執筆者:由井 俊三
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