銅陵(読み)どうりょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「銅陵」の意味・わかりやすい解説

銅陵
どうりょう / トンリン

中国、安徽(あんき)省南部の地級市。揚子江(ようすこう)に臨む鉱山都市である。3市轄区、1県を管轄する(2016年時点)。人口74万1823(2010)。唐代に義安(ぎあん)県が置かれ、五代のとき南唐により銅陵県と改められた。1957年銅陵県の銅官山(どうかんざん)鉱区を分離して銅官山市が設置され、1958年銅陵市と改称した。銅官山では唐代より鉄、銅の採掘が行われ、清(しん)朝末期よりイギリス、日本などが着目したが開発に至らなかった。中華人民共和国成立後、国内有数の銅鉱山として開発が進み、銅の精錬をはじめとする金属工業や機械、化学、電子部品などの工業が発達している。寧銅線(南京(ナンキン)―銅陵)の終点で、同線は南京で京滬(けいこ)線に接続する。

[林 和生・編集部 2017年7月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「銅陵」の意味・わかりやすい解説

銅陵 (どうりょう)
Tóng líng

中国,安徽省南部,長江(揚子江)南岸にある省直轄市。郊外の銅陵県をも管轄する。面積は1019km2(うち市区119km2),市区人口36万(2000)。南京より通ずる寧銅鉄道(南京~銅陵)の終点。市区は1956年,銅官山鉱区を独立させたもので,市内に別に銅陵県がある。長江沿岸の低湿地であり,とくに交通位置にも恵まれなかったため県の設置は遅れたが,唐に銅官山の銅鉱が開発され銅官場が設けられ,唐末には義安県が置かれた。五代南唐のとき,銅陵県と改められ,宋代には利国監が置かれて冶金が行われた。しかししだいに産出量は減り,明代には併せて産出する鉄鉱のほうが注目され,清末には外国資本との合弁で工業開発が計画された。しかし地元の反対もあって実現をみず,現在は有色冶金工業の基地として発達している。
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