銜む(読み)ククム

デジタル大辞泉 「銜む」の意味・読み・例文・類語

くく・む【×銜む/含む】

[動マ五(四)]
口の中にふくむ。
「例の―・んだような言語ものいいまでが」〈二葉亭訳・夢かたり〉
表面に加えもつ。ふくむ。
緊笑しめわらいにも愛嬌を―・んで」〈二葉亭浮雲
外から包みこむ。または、中に入れる。
襁褓むつきに―・まれ給へる」〈狭衣・四〉
心にとどめる。忘れずにいる。
「心の内にいつかあぢはひ―・むごと、なくなくこもりありければ」〈賀茂女集〉
[動マ下二]くくめる」の文語形

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「銜む」の意味・読み・例文・類語

くく・む【銜・含】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 マ行四段活用 〙
    1. 口の中に入れて保つ。口にふくむ。ふふむ。
      1. [初出の実例]「夜半を以て梅(くちき)(ククム)で城を穿て劇(あわて)営の中に入る」(出典日本書紀(720)天武元年七月(北野本訓))
      2. 「氷(ひ)くくみたる声にて」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
    2. 中にはめこむ。また、外面を包んで飾る。
      1. [初出の実例]「金にてうちくくんだる腰の刀にて」(出典:平家物語(13C前)一二)
    3. 心にとどめる。意趣を含む。
      1. [初出の実例]「かへりては身のうきことを、親の結べる心のうちに、いつかあらはひくくむごと、なくなくこもりありければ」(出典:賀茂女集(993‐998頃))
    4. 挟んで保つ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    5. 表面に加えもつ。ふくむ。
      1. [初出の実例]「壺々口の緊笑ひにも愛嬌をくくんで」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙くくめる(銜)

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