デジタル大辞泉 「意趣」の意味・読み・例文・類語 い‐しゅ【意趣】 1 恨みを含むこと。また、人を恨む気持ち。遺恨いこん。「意趣を晴らす」2 心の向かうところ。意向。「格調高雅、―卓逸」〈中島敦・山月記〉3 無理を通そうとすること。意地。「二人はわざと―に争ってから」〈有島・生れ出づる悩み〉4 理由。わけ。「神妙に―を述べ、ものの見事に討たんずる」〈浄・堀川波鼓〉5 「意趣返し」に同じ。「昨日の―に一番参ろか」〈浄・矢口渡〉[類語]悪意・悪気・悪感情・悪心・邪気・邪心・出来心・恨み・怨恨えんこん・怨嗟えんさ・私怨しえん・遺恨いこん・怨念おんねん・宿意・宿怨しゅくえん・宿恨・積怨せきえん・旧怨きゅうえん・仇あだ・憎しみ・復讐心ふくしゅうしん・逆恨み・恨めしい 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「意趣」の意味・読み・例文・類語 い‐しゅ【意趣】 〘 名詞 〙① 心のむかうところ。意向。考え。仏教では仏の説法によって、平等意趣、別時意趣、別義意趣、補特伽羅(ふどがら)意楽意趣の四つを立てる。[初出の実例]「能尊王〈略〉事の趣きを問ひ給ふ。聖人、意趣を具(つぶさ)に語り給ふ」(出典:今昔物語集(1120頃か)六)[その他の文献]〔法華経‐方便品〕② 言わんとすること。意味。[初出の実例]「格物致知の詳なること、敬の意趣、『或問』に於て詳に著し」(出典:敬説筆記(18C前))③ わけ。理由。事情。〔吾妻鏡‐四・文治元年(1185)五月二四日〕[初出の実例]「神妙に意趣をのべ物の見事に討たんずる」(出典:浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)下)④ 周囲の事情からやめられないこと。ゆきがかり。また、どうしてもやりとおそうとする気持。意地。[初出の実例]「大臣は此の世にても、随分意趣(イシュ)深かりし人なれば、苔の下迄さこそ思はるらめ」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)下)⑤ 人を恨む心があること。恨みが心に積もること。また、その心。遺恨。[初出の実例]「貞信公与二道明一有二意趣一歟」(出典:江談抄(1111頃)二)⑥ =いしゅがえし(意趣返)[初出の実例]「父の意趣(イシュ)を遂(とげ)」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)後) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「意趣」の読み・字形・画数・意味 【意趣】いしゆ 思い。意向。〔宋書、胡藩伝〕桓玄、趣常ならず。(つね)にを失へるに怏怏(あうあう)たり。字通「意」の項目を見る。 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報