鋒鋩(読み)ホウボウ

デジタル大辞泉 「鋒鋩」の意味・読み・例文・類語

ほう‐ぼう〔‐バウ〕【××鋩】

刃物の切っ先。
相手を追及する激しい気質・気性のたとえ。
「基康が、その―を避けて、相手にしないので」〈菊池寛・俊寛〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「鋒鋩」の意味・読み・例文・類語

ほう‐ぼう‥バウ【鋒鋩・鋒芒】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 刃物などのきっさき。ほさき。転じて、戦いで敵を攻撃する方向。
    1. [初出の実例]「一人善舞大阿劔、不鋒鋩」(出典:宝覚真空禅師録(1346)乾・豊州蒋山興聖万寿禅寺語録)
    2. 「鋭進せる鋒鋩を瞬間に転換し」(出典:東巡録(1876)〈金井之恭〉二)
    3. [その他の文献]〔趙孟頫‐送孟仲則詩〕
  3. 相手の非を責めたり問題を鋭く追求したりする話しぶり。また、鋭い気質。はげしい気性。
    1. [初出の実例]「行蔵任鐘谷、吐納挫鋒鋩」(出典:性霊集‐一(835頃)遊山慕仙詩)
    2. 「俊助は漸く鋒芒(ホウバウ)ををさめながら、短くなった金口灰皿の中へ抛りこんで、稍皮肉にかう尋ねた」(出典:路上(1919)〈芥川龍之介〉五)
    3. [その他の文献]〔孟郊‐遺興聯句〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の鋒鋩の言及

【硯】より

…硯の表面を硯面,背面を硯背,側面四囲を硯側,硯面の縁周を硯縁,頭部を硯首,墨をする所を墨堂,墨道あるいは墨岡,墨汁をためるくぼみを墨池,硯池あるいは海,墨堂と硯池の境界部を落潮,硯背の足を硯足,硯背の空隙部を挿手あるいは抄手(しようしゆ)などという。硯面には無数の微細な鋒鋩(ほうぼう)があり,これに墨がひっかかってすりおろされる。中国をはじめ,朝鮮,日本などでは,硯を美術工芸品とみなして,その石質,石色,石紋,石眼などを賞美し,文房四宝(硯,墨,筆,紙)の第一に数え,尊んできた。…

※「鋒鋩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android