鎌倉郡(読み)かまくらぐん

日本歴史地名大系 「鎌倉郡」の解説

鎌倉郡
かまくらぐん

和名抄」に載せる相模国八郡の中の一つで、「加末久良」と訓を付す。国の東部に位置し、南は相模湾に面し、西は高座たかくら郡、北は武蔵国都筑つづき橘樹たちばな両郡、東は三浦郡と武蔵国久良くらき郡に接する。古代には「和名抄」の沼浜ぬはま・鎌倉・はしたて荏草えがや梶原かじわら尺度さかと大島おおしまほか、天平勝宝元年(七四九)の奈良東大寺正倉院御物の調庸布墨書にみえる方瀬かたせ郷が存在した。このうち沼浜は三浦郡沼間ぬまま(現逗子市)に当たるとみられ、また尺度高座こうざ郡藤沢の坂戸さかど(現藤沢市)に比定されており、郡界が変遷したものと思われる。郡域は現鎌倉市を中心に現横浜市戸塚とつか区・金沢かなざわ区、藤沢市、逗子市の各一部を含む。郡衙は鎌倉郷にあったと推定されている。鎌倉という語は「古事記」景行天皇段に、倭建命の子孫足鏡別王が「鎌倉之別」の祖であるとみえるのが古い。郡名の初見は天平七年(七三五)閏一一月一〇日の相模国封戸租交易帳(正倉院文書)で、鎌倉郡鎌倉郷三〇戸が従四位下高田王の食封に充てられている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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