鎖す(読み)サス

デジタル大辞泉 「鎖す」の意味・読み・例文・類語

さ・す【鎖す】

[動サ五(四)]《「差す」と同語源》門や戸などを閉める。錠をおろす。閉ざす。また、容器の栓をぴったり閉じる。「戸を―・す」
[可能]させる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「鎖す」の意味・読み・例文・類語

と‐ざ・す【鎖・閉】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行五(四) 〙 ( 「戸鎖(さ)す」の意 )
    1. 門や戸を閉じて錠をおろす。戸締まりをする。閉じる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
      1. [初出の実例]「征路に赴いて独り行く子 旅店なほ扃(とざ)せり〈謝観〉」(出典和漢朗詠集(1018頃)下)
    2. 人が通れなくなるほど草木が茂る。
      1. [初出の実例]「ありし教にしたがってこの五条わたりにきてみれば、〈略〉草顔淵が巷にしげし、藜藋ふかくとさせり」(出典:車屋本謡曲・半蔀夕顔(1541頃))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
    1. 戸をしめて営業をやめる。閉じる。
      1. [初出の実例]「いつしか店売の本務をおこたりひたすら勧懲をば売らまくほりして竟には店を閉(トザ)すにいたりし」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上)
    2. 通れなくなるように、通路などをふさぐ。閉じる。〔五国対照兵語字書(1881)〕
      1. [初出の実例]「行く方途はほとんど閉ざされてしまっていた」(出典:方丈記私記(1970‐71)〈堀田善衛〉一)
    3. 中に閉じこめる。ふさぐ。また、おおいかくす。比喩的に、うれいや悲しみなどが心や胸をしめつける意にも用いる。
      1. [初出の実例]「厭な心持に胸が鎖ざされたのである」(出典:告げびと(1913)〈伊藤左千夫〉)
      2. 「安家村は四方を山でとざされ」(出典:しろうと農村見学(1954)〈桑原武夫〉)

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