鏡山(佐賀県)(読み)かがみやま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鏡山(佐賀県)」の意味・わかりやすい解説

鏡山(佐賀県)
かがみやま

佐賀県北西部、唐津湾(からつわん)の湾奥背後にある山。標高284メートル。別名領巾振山(ひれふりやま)、古くは松浦山(まつらやま)とも称した。唐津市のほぼ中央に位置する。花崗(かこう)岩の上に玄武岩をのせ、頂上部が平たいテーブル状のメサ地形をなす山塊。北、西側はかつて低平な潟地(かたち)をなし、松浦潟(まつらがた)などと称した。北の前面に東の浜の砂州状砂丘が東西に発達し、特別名勝の虹の松原(にじのまつばら)が続く。玄海国定公園(げんかいこくていこうえん)の一中心をなし、頂上展望台からの唐津湾周辺の眺望は絶景。眺めのきく北側には七曲りの広い登山道路がある。『万葉集』に「海原の沖行く船を帰れとか領巾(ひれ)振らしけむ松浦佐用姫(まつらさよひめ)」などとある佐用姫の悲恋伝説で有名。土地の長者の娘松浦佐用姫がこの山から領布を振って、朝鮮半島の任那(みまな)に渡る大伴狭手彦(おおとものさてひこ)との別離を悲しんだと伝え、領布振山の別名を生む。周辺には国指定重要文化財の朝鮮鐘(大平六年九月の銘あり)をもつ恵日寺(えにちじ)があり、島田(しまだ)塚古墳ほか旧跡が多い。唐津駅から車で約30分。

[川崎 茂]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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