鏡箱(読み)カガミバコ

デジタル大辞泉 「鏡箱」の意味・読み・例文・類語

かがみ‐ばこ【鏡箱/鏡×匣/鏡×筥】

平安時代以後、寝殿に置いた調度の一。円形または八つ花形で脚のついた台の上にのせ、鏡・汗手拭あせたなごい領巾ひれなどを入れた。

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精選版 日本国語大辞典 「鏡箱」の意味・読み・例文・類語

かがみ‐ばこ【鏡箱・鏡匣・鏡筥】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 平安時代以後、寝殿に設けた理髪の調度の一つ。鏡、領巾(ひれ)汗手拭(あせたなごい)などを入れる円形または八花形(やつはながた)の箱。鷺足の台の上に置き、櫛笥(くしげ)と並べて置かれた。
    1. 鏡箱<b>①</b>〈伴大納言絵詞〉
      鏡箱伴大納言絵詞
    2. [初出の実例]「妙善の安住なること、猶ほ奩底(カカミハコ)のごとし」(出典:彌勒上生経賛平安初期点(850頃))
  3. 鏡を入れる箱。
    1. [初出の実例]「青梅や誰か盗みて鏡篋」(出典:妻木(1904‐06)〈松瀬青々〉夏)

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世界大百科事典(旧版)内の鏡箱の言及

【鏡台】より

…板ガラスに水銀膜をほどこした現在の鏡体の場合は,その縁枠を化粧用具を納めるための抽斗(ひきだし)を設けた台箱上の2本の架木に留金具でとりつけ,鏡と台が一体化した形式のものを文字どおり鏡台と称する。しかし鉄鏡や白銅鏡など金属鏡の時代には,鏡体は通常,唐綾の入帷(いれかたびら)に包んで鏡箱(きようばこ)に納置し,必要に応じて鏡台にかけて使用するのが建前であった。したがって鏡台は,鏡体に付随する用途を有するものであるが,一方ではそれ自体に調度的な性格も備えており,そのため形状を吟味し,さまざまな装飾をほどこした機能美豊かな意匠のものが考案された。…

※「鏡箱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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