長沙遺跡(読み)ちょうさいせき(英語表記)Chang-sha

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「長沙遺跡」の意味・わかりやすい解説

長沙遺跡
ちょうさいせき
Chang-sha

中国湖南省長沙付近にある東周および漢代の墓葬群。 1931年に戦国時代,漢代の遺物が出土し,その後 51~52年に中国科学院考古研究所によって,長沙近郊の陣家大山,伍家嶺,識字嶺,五里牌,徐家湾などの調査が行われた。発掘された 162基の墓葬は戦国時代から宋代に及ぶもので,そのうち 73基は戦国時代に,72基は漢代に属する。 53,54年には仰天湖,左家公山,楊家湾で戦国時代から前漢初頭の3基の大型木槨墓が発見されたほか,71年には五里牌で馬王堆1号漢墓が発掘され,その後2号墓と3号墓の発掘調査も行われている。戦国墓の多くは木槨を有し,青銅器漆器,木器,陶器などの副葬品中原と異なった楚独特の特徴を示す。前漢には,徐家湾の第 401号墓に代表されるような木槨墓が多いが,特に五里牌で発掘された馬王堆1号漢墓は,深さ 16mの竪穴内に3重の木槨と3重の木棺を有していた。馬王堆1号漢墓からは被葬されたたい侯夫人と考えられる遺体がきわめて良好な状態で腐敗せずに出土した。後漢になると長沙でも 塼室墓が一般化する。漢代の副葬品には,漆器のほか,青銅器,陶器,木俑木簡衣類金餅木車木船などの器物が存在し,中原的要素を有すると同時に楚の伝統が顕著に認められる。

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