閉塞性肺疾患(読み)へいそくせいはいしっかん(その他表記)obstructive lung disease

改訂新版 世界大百科事典 「閉塞性肺疾患」の意味・わかりやすい解説

閉塞性肺疾患 (へいそくせいはいしっかん)
obstructive lung disease

気道閉塞によって換気障害を起こす慢性呼吸器疾患一群をさし,正確には慢性閉塞性肺疾患という。気管支喘息(ぜんそく),肺気腫慢性気管支炎,および日本の瀰漫びまん)性汎細気管支炎がおもなもので,それぞれ異なる疾患であるが,臨床症状,呼吸機能や治療面で共通点が多いため1960年ころからこの総称が広く使われるようになった。これより以前は,これらの疾患に対し,アメリカでは慢性肺気腫,イギリスでは慢性気管支炎の診断名が使われることが多かった。そこで両国学者による共同研究の結果,アメリカの肺気腫とイギリスの慢性気管支炎とはほぼ同じものであることがわかってきた。1958年にはチバ・ゲスト・シンポジウムで慢性非特異性肺疾患chronic nonspecific lung diseaseという総称名が提唱され,さらに65年アメリカ胸部疾患学会から,慢性閉塞性肺疾患chronic obstructive lung disease(COLDと略す)という名称が与えられ,今日広く普及している。その後,フレッチャーC.M.FlecherやバローズB.Burrowsらによって,COLDは臨床所見からA型(気腫型)とB型(気管支炎型)に分類されることが提唱され,外国ではこのような分類下でこれらの疾患が取り扱われることが多い。しかし,COLDに含まれる各疾患は臨床症状の共通性や,形態学的な移行合併がみられたとしても,本来それぞれ臨床病理学的裏づけをもった独立疾患であり,総称としては許されても,診断名として扱われるべきではない。瀰漫性汎細気管支炎は,近年日本で提唱された疾患で,臨床的にはバローズらのB型のCOLDに類似するが,国際的には十分比較検討されるに至っていない。
気管支炎
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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