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慢性閉塞性肺疾患 まんせいへいそくせいはいしっかんchronic obstructive pulmonary (lung) disease

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知恵蔵の解説

慢性閉塞性肺疾患

慢性気管支炎肺気腫などの肺疾患によって起こる、閉塞性換気障害を伴う疾患。喫煙、窒素酸化物などによる大気汚染などが原因となり、慢性的に気道に炎症が起こることによる。喫煙している男性が圧倒的によくかかり、高齢社会が進むにつれて増加していくものと思われる。症状としては、咳、痰、呼吸困難、ゼーゼーという息切れなど。

(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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デジタル大辞泉の解説

まんせいへいそくせい‐はいしっかん〔‐ハイシツクワン〕【慢性閉塞性肺疾患】

息切れや咳嗽(がいそう)・喀痰(かくたん)の増加などを主な症状とする、進行性肺疾患の一。「肺の生活習慣病」ともいわれ、喫煙などにより有害物質を長期にわたって吸入することにより引き起こされる肺の機能低下慢性炎症気道に生じた炎症や肺胞に生じた障害が原因となり、空気の吸入・呼出が困難となる。肺高血圧症心不全などの合併症を起こす場合があり、重症化すると呼吸不全などに至る。慢性気管支炎肺気腫と呼ばれていた病名を統合したもの。40歳以上の発症率が高く、WHO世界保健機関)による世界の死亡原因としても上位に位置する。COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)。

出典|小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

慢性閉塞性肺疾患
まんせいへいそくせいはいしっかん

喫煙などで有毒な粒子やガスを吸い込むことによって肺に炎症が引き起こされる。肺には呼吸に伴って空気が出入りするが、この炎症のために空気の流れが障害を受けた病態を慢性閉塞性肺疾患という。慢性閉塞性肺疾患は名称が長いのでCOPD(chronic obstructive pulmonary disease)とよばれることが多い。長く慢性閉塞性肺疾患は、慢性気管支炎と肺気腫に分けて考えられていたが、現在は一つの疾患として取り扱われている。ちなみに慢性気管支炎は痰(たん)が多い状態が長く続く臨床的所見をもとに診断され、肺気腫は肺の気腔(空気が出入りしているところ)が異常に拡大した病理所見をもとに診断されていた。本疾患は、一時的に病状が改善することもあるが、徐々に進行した場合、体を動かすだけで呼吸困難を自覚するようになる。[鈴木 隆]

疫学

2000年(平成12)の日本における慢性閉塞性肺疾患による総死亡数は1万3063人(男性9665人、女性3398人)であり、国内の総死亡数の1.3%であった。人口10万人あたりの死亡率でみると10.4(男性15.7、女性5.3)であった。1985年(昭和60)以降徐々に死亡率が増加している。データには、男女の性差がみられ、死亡率は男性が女性より高い。年齢群ごとにみると高年齢で死亡率が高いことから、高齢化社会を迎える将来、慢性閉塞性肺疾患による死亡数がさらに増加することが懸念される。[鈴木 隆]

危険因子

喫煙が慢性閉塞性肺疾患の原因になる。しかし喫煙者であっても慢性閉塞性肺疾患をきたさない者もあることから、個人によってタバコに対する感受性の差があるものと推定される。その他の原因として、大気汚染、受動喫煙、職業上の粉塵(ふんじん)・化学物質の吸入、呼吸器感染などがある。[鈴木 隆]

症状と診断

慢性の咳(せき)、痰、少し体を動かしただけで呼吸困難を自覚する、などの症状がある。背景に長期間の喫煙、職業上の粉塵暴露があった場合には慢性閉塞性肺疾患の可能性が高い。肺活量計による検査を行って、検査中に治療薬である気管支拡張薬を吸入してある程度以上改善した場合に慢性閉塞性肺疾患と診断する。さらに胸部X線写真、高分解能CT(HRCT:high resolution CT)、動脈血ガスの解析などが病状を診断するために有用である。[鈴木 隆]

治療

禁煙が必須である。禁煙を達成するために禁煙プログラムやニコチン置換療法などが用いられる。また疾患の重症度にあわせて種々の気管支拡張薬、ステロイド(いずれも経口薬、吸入薬がある)を服用する。疾患が進行して低酸素血症をきたす場合には、酸素を使用する在宅酸素療法(HOT:home oxygen therapy)を行う。慢性閉塞性肺疾患の進行を抑制し、患者の生活の質を改善するために、運動療法、酸素療法、理学療法、栄養指導が行われる。外科的には肺容量減少手術、すなわち膨張しすぎた肺気腫の部分を切除する手術によって自覚症状と呼吸機能の改善を図る治療が行われることがある。さらに肺の破壊が高度で、ほかに有効な治療手段がない場合には肺移植が考慮される。[鈴木 隆]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内の慢性閉塞性肺疾患の言及

【気管支炎】より

…イギリスのフレッチャーC.M.Fletcherによって〈1年に3ヵ月以上咳・痰が続き,それが少なくとも2年(2冬)にわたる〉という基準が提唱された(1959)。しかし,このような症状を示す慢性の呼吸器疾患はたくさんあり,とくに慢性閉塞性肺疾患chronic obstructive lung disease(COLDと略す)とよばれる一連の疾患には,慢性気管支炎のほか,肺気腫症,気管支喘息,瀰漫(びまん)性汎細気管支炎などが含まれ,いずれも多かれ少なかれ持続性の咳・痰を特徴とする。また気管支拡張症も同様である。…

【閉塞性肺疾患】より

…気道の閉塞によって換気障害を起こす慢性呼吸器疾患の一群をさし,正確には慢性閉塞性肺疾患という。気管支喘息(ぜんそく),肺気腫,慢性気管支炎,および日本の瀰漫(びまん)性汎細気管支炎がおもなもので,それぞれ異なる疾患であるが,臨床症状,呼吸機能や治療面で共通点が多いため1960年ころからこの総称が広く使われるようになった。…

※「慢性閉塞性肺疾患」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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