阿児奈波島(読み)うちなわじま

日本歴史地名大系 「阿児奈波島」の解説

阿児奈波島
うちなわじま

鑑真の伝記唐大和上東征伝」にみえる島名。同書によると天宝一二歳(七五三)一一月一六日に四船で蘇州の黄泗浦を出発し、同月二一日に第一船と第二船が同時に「阿児奈波嶋」に到着したとある。第三船は二〇日の夜にすでに到着していたが、第四船は途中船尾部分から失火し船団を離れたという。鑑真に随伴した思託は「阿児奈波嶋」に到着した際、唐僧義静が石窟の中で魑魅に遭遇し失心したため、檳榔を採り義静を救ったという(「日本高僧伝要文抄」第三)。ここに出てくる阿児奈波島が中国音のアルナプまたはアイナプであるとすればエラブに通ずるとして口永良部くちえらぶ(現鹿児島県上屋久町)に比定する見解もあるが、沖縄島をさすというのが今日の通説である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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