デジタル大辞泉
「沖縄島」の意味・読み・例文・類語
おきなわ‐じま〔おきなは‐〕【沖縄島】
沖縄諸島中最大の島。北東から南西に細長い。面積1206.5平方キロメートル。中心は那覇市。第二次大戦の激戦地。沖縄本島。
霜多正次の長編小説。昭和31年(1956)から昭和32年(1957)にかけて、「新日本文学」誌に連載。米軍占領下の沖縄に生きる人々の姿をリアルに描く。昭和32年(1957)、第11回毎日出版文化賞受賞。
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沖縄島
おきなわじま
琉球列島の中央部に位置し、沖縄県のなかで最大の面積をもつ島。沖縄県の主島で、北端の国頭村から南端の糸満市まで三三市町村がある。日本のなかでは本州・北海道・九州・四国・択捉島・国後島に次ぎ七番目に大きい島。面積は一二〇四・〇一平方キロで、県全体の五三パーセントを占める。一九七二年(昭和四七年)の日本復帰当時の面積は一一七七・〇五平方キロで、復帰後三〇年間に中南部の西海岸や中城湾岸などの埋立によって二六・九四平方キロ(二・二パーセント)増えた。沖縄本島ともいうが、これは離島を意識した人文・社会的概念による呼称である。沖縄島は法律(沖縄振興開発特別措置法)上では本土とみなされる。それゆえ沖縄島と架橋または道路で結ばれた島は沖縄島と一体として扱われ、法律上指定離島とはならない。
〔地理〕
北端は国頭村辺戸岬、南端は糸満市荒崎。島軸はほぼ北東―南西方向で、長さは一〇六・六キロ、最大幅(名護市天仁屋崎―本部町備瀬崎間)は三一・二キロ、最小幅は石川地峡(石川市石川―恩納村仲泊間)の三キロ。最高点は国頭村の与那覇岳で五〇三メートル。沖縄島は石川地峡を境に北部(国頭あるいは俗にヤンバルともいう)と中南部に二分でき、北部はさらに島軸部と半島部(本部半島)に細分できる。この三地区の地質は半島部が最も古く、その基盤は古生代起源の石灰岩などを主体とする中生代の本部層・今帰仁層・与那嶺層からなる。北部の島軸部は古第三紀の名護層(千枚岩など)や嘉陽層(砂岩など)から、中南部は新第三紀の島尻層群(泥岩・砂岩)や第四紀の琉球層群(琉球石灰岩)から構成される。したがって沖縄島全体の地質の骨格は東シナ海側の本部半島、中間の北部島軸部、太平洋側の中南部の順にしだいに新しくなっていくという帯状配列をなしている。なお中南部は国場川河口部と与那原を結ぶ低地部を境に、中部(中頭)と南部(島尻)に二分される。
北部島軸部は長さ約六六キロに及び、中央部に山地が連なる。この山地は大宜味村塩屋―東村平良間の地峡部(幅三・八キロ)を境に南北に二分される。与那覇岳や伊湯岳(四四六・二メートル)を主体とする北の山地は標高四〇〇メートル以上の山稜が島軸方向に走る脊梁山脈である。一方、多野岳(三八五・二メートル)・恩納岳(三六二・八メートル)を中心とする南の山地は孤立峰が島軸上に並び、山頂高度は南にいくにしたがって低くなる傾向にある。東村―名護市一帯では島軸に直交する断層に由来する直線的な深い谷が横断し山体を分割している。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
沖縄島
おきなわじま
南西諸島の中部にある島。沖縄諸島の主島で沖縄本島とも呼ぶ。面積 1207.87km2。沖縄県最大の島で,県総人口の 80%以上が居住。国頭(くにがみ。北部),中頭(なかがみ。中部),島尻(南部)に大別される。国頭地方は島の約 3分の2を占め,山地が広く,西銘岳(にしめだけ。420m),与那覇岳(よなはだけ。503m),恩納岳(おんなだけ。363m)が脊梁山地をなして海岸に迫り,海岸段丘が発達する。森林,段々畑が広く,裾礁が発達し,景観に優れる。与那覇岳は沖縄島の最高峰で,山頂を中心に与那覇岳天然保護区域が設けられている。最北部のやんばる地域はやんばる国立公園に属し,2021年には奄美大島,徳之島,西表島とともに世界遺産の自然遺産に登録された。本部半島は嘉津宇岳(452m),八重岳(453m)を中心とする地塊山地で,台地一面がパイナップルやミカンの畑となっている。半島先端の備瀬崎一帯は 1975年国際海洋博覧会の会場となった。西海岸一帯は沖縄海岸国定公園に属し,保養地も多い。中頭地方は新第三紀層やサンゴ礁からなる低い台地や丘陵地域で,西側には嘉手納飛行場をはじめ在日アメリカ軍の基地が集中。兵舎,倉庫,軍病院,貸住宅が立ち並ぶ。大半の土地を軍用に接収されたこれらの地域では,経済的に基地依存の傾向が強い。一方,東海岸は石油産業など工業地域への転換が目立つ。島尻地方は丘陵地帯で軍用地が散在する。那覇市とその周辺のほかはサトウキビ栽培を中心とした農村地域。南端部は第2次世界大戦最後の激戦地であり(→沖縄の戦い),沖縄戦跡国定公園に属する。
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沖縄島 (おきなわじま)
九州南端と台湾を結ぶ弧状の琉球諸島のほぼ中央部に位置する沖縄諸島の主島をいう。一般に沖縄本島と呼んでいる。諸島のうち最大の島で,面積約1200km2,全県の53%の面積に県の総人口の約90%,114万5323人(1995)が居住する人口稠密(ちゆうみつ)な島である。本島は琉球王府時代から,廃藩置県後の県政時代,第2次大戦後のアメリカ施政時代,1972年の日本復帰後の今日に至るまで,つねに琉球史の中心舞台となった。北東から南西の方向に細長く延びた島で,北端の辺戸(へど)岬から南端の喜屋武(きやん)崎まで約120kmある。狭いところは幅4km足らずで地峡部をなし,石川,仲泊を結ぶ地峡部から北と南では地質,地形に著しい差異がある。石川地峡部以北は国頭(くにがみ)郡の山岳地域で,〈山原(やんばる)〉の異称がある。名護断層を境として,西側の本部(もとぶ)半島は古生代の石灰岩,粘板岩,砂岩の地層からなる山地で,東側の胴体部は中生代の名護層,嘉陽層からなり,脊梁山地を形成する。脊梁部は,300~500mの島状の山地が縦走しており,その中の最高峰は与那覇岳(503m)である。山地に続く平たん性の強い台地は典型的海岸段丘で,赤色土の国頭砂礫層が厚くおおっている。沿岸には琉球石灰岩が発達し,出入りの多いリアス湾奥の沖積低地は集落の適地となる。石川地峡以南は,第三紀の島尻層を基盤に琉球石灰岩がおおい,読谷山(よみたんざん)岳(236m)が最も高く,ほかは200m以下の岳,嶽,森と称する高地,丘陵地である。琉球石灰岩の台地は断層による傾動地塊や丘陵地,高地のカルスト地形が見られ,また地下には多くの洞穴が形成される。沖縄は亜熱帯気候に属し,夏は高温・多雨で蒸し暑く,冬は温暖・寡雨である。そのため,ガジュマル,フクギ,ソテツ,ビンロウ,ハイビスカス,マングローブ,アダンなどが1年中茂っている。アジア大陸東岸のモンスーン気候地域にあるため,冬は北東季節風が吹き,夏は南東季節風が強く吹く。毎年,夏には台風が数回襲来するので,住居や屋敷は堅固な防風対策がなされる。主都那覇市の年間平均気温22.4℃,年間降水量は2128mmである。第2次世界大戦前の沖縄島には那覇と首里の二つが市制を施行していた。戦後は,アメリカ軍基地の恒久化に伴って,那覇市から石川市までの30kmの中部地域に人口の集中が目だち,都市化が進んでいる。沖縄県の11市のうち9市までが沖縄島にあり,郡部は島尻郡3町,中頭郡3町3村,国頭郡2町6村がある。
執筆者:田里 友哲
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沖縄島【おきなわじま】
沖縄県,沖縄諸島中最大の島。南北118km。幅10km内外の細長い島で,面積1206.96km2。《唐大和上東征伝》に阿児奈波島とみえ,753年鑑真の一行が漂着している。北部は与那覇岳(503m)を最高とする古生層山地と,その周囲の台地状の海岸段丘からなり,一部に隆起サンゴ礁・沖積地が発達。中・南部は隆起サンゴ礁台地と第三紀層よりなり,サトウキビ,サツマイモ等農業生産の中心地。海岸にはサンゴ礁が発達して黒潮が流れ,一年のうち8ヵ月は20℃以上,冬も16℃程度で,亜熱帯植物が茂る。夏は南東,冬は北東の季節風が吹き,7〜9月は台風の季節で,被害は多大。那覇(なは)市が中心。
→関連項目沖縄諸島|クロイワゼミ|豊見城[市]|南西諸島|与論島
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沖縄島
霜多正次による著作。1957年刊行。同年、第11回毎日出版文化賞受賞。
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世界大百科事典(旧版)内の沖縄島の言及
【沖縄[県]】より
…面積=2266.04km2(全国44位)人口(1995)=127万3440人(全国32位)人口密度(1995)=562人/km2(全国10位)市町村(1997.4)=10市16町27村県庁所在地=那覇市(人口=30万1890人)県花=デイゴ 県木=リュウキュウマツ 県鳥=ノグチゲラ日本の最南西に位置し,[沖縄島](本島)ほか160の島々からなる島嶼(とうしよ)県で,そのうち40島が有人島,他は無人島である。明治以前の沖縄は琉球国という小独立国で,特に中国からは冊封を受け,臣の礼をつくして貿易を守り,その文物を輸入した。…
【島】より
…自然地理学的には周囲を水圏(海,湖沼など)によって完全に囲まれ,本土mainland(大陸または主島)に比して相対的に狭小な陸地をいう。したがって,島と本土とは元来相対的関係にすぎず,両者を区別する合理的な差異はない。ただ社会的慣習として,世界的にはオーストラリアより大きい陸地を大陸と呼び,グリーンランドより小さい陸地を島と呼んでいるにすぎない。また同様に日本国内では四国より大きい陸地を本土,択捉(えとろふ)島より小さい陸地を一般に島と呼んでいる。…
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