最新 地学事典 「阿武隈変成岩」の解説
あぶくまへんせいがん
阿武隈変成岩
Abukuma metamorphic rock
広義には阿武隈変成帯に属する低圧型の変成岩を指すが,狭義には御斎所・竹貫地域のものを指す。広域変成作用に接触変成作用が重複した変成岩である。狭義の阿武隈変成岩は,東半部は塩基性変成岩,西半部は砂質泥質変成岩が多く,小藤文次郎(1893)はそれぞれ御斎所統(Gosaisho Series),竹貫統(Takanuki Series)と呼んだ。広井美邦ほか(1987)は御斎所変成岩の石英片岩からジュラ紀の放散虫を報告し,原岩の堆積時代とした。竹貫変成岩の原岩の年代もジュラ紀とされる。両者の関係は非整合または衝上断層によって境されていると考えられている。変成岩類は鉱物組合せと角閃石のNa+Al含量,斜長石のAn含量,ざくろ石のMn含量の変化,Al2SiO5鉱物の変化により累進分帯されている。変成分帯は広域変成作用と接触変成作用それぞれについて行われている。広域変成作用は東で弱く,西に強くなる。都城秋穂(1958)は泥質変成岩の紅柱石や珪線石を含む鉱物組合せの特徴や,塩基性岩にホルンブレンド+緑れん石+アルバイトの組合せが出現しないことから,紅柱石-珪線石系列(低圧型)の変成相系列であるとした。それに対し宇留野勝敏らによって,きわめてまれではあるが残晶状のらん晶石・十字石が広く産することが明らかとなり,阿武隈変成岩がかつてらん晶石-珪線石系列の変成作用を受けたという複変成作用や,単一変成作用でらん晶石の生成領域に至るようなP-T経路が論じられた。
執筆者:田切 美智雄・高橋 俊郎
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

