十字石(読み)ジュウジセキ(その他表記)staurolite

精選版 日本国語大辞典 「十字石」の意味・読み・例文・類語

じゅうじ‐せきジフジ‥【十字石】

  1. 〘 名詞 〙 鉄・アルミニウム・珪素などを主成分とする鉱物。単斜晶系。柱状の結晶、または、ときに十字形やX字形の双晶を呈して片麻岩雲母片岩などの広域変成岩中に産する。ふつう暗褐色でガラス光沢または樹脂光沢を有する。〔厚生新編(1811‐39頃)〕

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最新 地学事典 「十字石」の解説

じゅうじせき
十字石

staurolite

化学組成変化がきわめて多岐にわたる鉱物のため,また模式標本が存在しないため,理想化学組成式を与えても無意味である。代りに例えばFe2に富むもので,副成分を除外視した式,というようなものが用いられており,他にMgに富むものやZnに富むものも知られている。また上の式について,H2がFe2を置換することによって起こる変化がH4.6程度にまで及ぶこともある。また少量のLiが必須成分であるという説もある。IMAの採用する理想化学式は。単斜晶系,空間群C2/m,格子定数a0.783~0.795nm, b1.650~1.682, c0.555~0.571, β90.1°,単位格子中2分子含む。暗褐・黄褐・赤褐色,粒状あるいは柱状。しばしば十文字形の双晶をなす。硬度7~7.5,比重3.6~3.8。光学的二軸性正・負,いずれの場合も光軸角大,屈折率α1.73~1.75, β1.74~1.76, γ1.75~1.77。多色性の著しいのものではX無色,Y淡黄,Z黄~黄褐。鉄に富む堆積岩起原の広域変成岩中に産し,白雲母・鉄ばんざくろ石・らん晶石などと産する。Mgに富むものはmagnesiostaurolite, Znに富むものはzincostauroliteという別種になる。命名はギリシア語のstauros(十文字)にちなむ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「十字石」の意味・わかりやすい解説

十字石
じゅうじせき
staurolite

泥質岩起源の結晶片岩片麻(へんま)岩中に、鉄礬(てつばん)ざくろ石、紅柱石、藍晶(らんしょう)石、珪線(けいせん)石などと産する鉱物。柱状の結晶をなすことが多く、しばしば直交(約90度)あるいは斜交(約60度)する貫入双晶をして十字形になることからこの名がある。日本では富山県宇奈月(うなづき)地方の雲母(うんも)片岩中に大きな結晶が多産する。また、火山岩捕獲結晶としても産する。

[松原 聰]


十字石(データノート)
じゅうじせきでーたのーと

十字石
 英名    staurolite
 化学式   (Fe2+,Mg)3-4Al18O16[(Si,Al)O48H2-4
 少量成分  Zn,Li,Co
 結晶系   単斜
 硬度    7~7.5
 比重    3.6~3.8
 色     褐,赤褐,黄褐
 光沢    ガラス~樹脂
 条痕    白~灰
 劈開    一方向に明瞭
       (「劈開」の項目を参照)

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改訂新版 世界大百科事典 「十字石」の意味・わかりやすい解説

十字石 (じゅうじせき)
staurolite

広域変成作用により生成する鉱物の一種。(Fe2⁺,Mg)4Al18Si8O46(OH)2の化学組成をもち,単斜(偽斜方)晶系に属する柱状結晶を示す。十字形の双晶を示すことが多く,その名の由来となる。暗褐~黄褐色を示すが薄片では無色~黄金色の多色性を示す。比重3.7~3.8,モース硬度7.5。泥岩などが中程度の広域変成作用を受けた場合に晶出し,クロリトイド,ラン晶石などと共生する。十字石はさらに絹雲母,緑泥石などに変質する場合が見られる。
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化学辞典 第2版 「十字石」の解説

十字石
ジュウジセキ
staurolite

Fe(OH)2・2Al2SiO5.鉄のアルミノケイ酸塩鉱物.変成岩中に産出する.単斜晶系,擬斜方晶系.空間群 C 2/m,格子定数 a0 = 0.783,b0 = 1.650,c0 = 0.555 nm.β ≅ 90°.硬度7~7.5.密度3.65~3.77 g cm-3.十字形の双晶を示すことがある.

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百科事典マイペディア 「十字石」の意味・わかりやすい解説

十字石【じゅうじせき】

結晶片岩,片麻岩などの広域変成岩中に多く産出する鉱物。赤褐〜黄褐色,透明〜半透明,ガラス光沢または樹脂光沢を示し,単斜晶系で,結晶は短柱状,ふつう十字形の貫入双晶を示す。比重3.6〜3.8,硬度7〜7.5,へき開明瞭。光学的2軸性で,薄片では無色,黄金色,淡黄色の多色性を示す。組成はたいへん変化が多く,Fe2Al9O6(SiO44(O,OH)2など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十字石」の意味・わかりやすい解説

十字石
じゅうじせき
staurolite

FeAl4O2(SiO4)2(OH)2 。単斜晶系の鉱物。比重 3.65~3.77,硬度7~7.5。十字 (ギリシア語で stauros) 形の双晶が普通にみられるので,この名がある。広域変成帯中に産出し,変成作用の指標になる。

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