改訂新版 世界大百科事典 「ラン晶石」の意味・わかりやすい解説
ラン(藍)晶石 (らんしょうせき)
kyanite
化学成分Al2SiO5の鉱物で,紅柱石,ケイ線石とは多形の関係にある。三斜晶系に属し,c軸方向に伸び,(100)に平行な板状結晶をなすことが多い。{100}に完全,{010}に良好なへき開をもつ。ガラス光沢をもち,透明ないし半透明で,青色,白~灰色,帯緑色などを呈する。へき開面には真珠光沢がある。比重3.67で,紅柱石,ケイ線石のいずれよりも大きい。モース硬度は(100)面上のc軸方向で4~5,b軸方向では6~7と,結晶の方位によって大きく異なることから二硬石distheneとも称される。泥質岩起源の高圧変成岩中に出現し,ザクロ石,十字石などを伴う。紅柱石,ケイ線石とならんで,変成作用の温度,圧力条件の指標となる。日本では四国の三波川(さんばがわ)結晶片岩,富山県の飛驒変成岩中に産出がある。ラン晶石は高耐火度の窯業材料として利用される。
執筆者:青木 正博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報