阿淡年表秘録(読み)あたんねんぴようひろく

日本歴史地名大系 「阿淡年表秘録」の解説

阿淡年表秘録
あたんねんぴようひろく

一〇巻 中山茂純編

成立 嘉永四年

原本 四国大学凌霄文庫・徳島市史編纂

解説 嘉永四年一二月に編纂された徳島藩の正史。編者中山茂純は徳島藩士。天保六年秋、藩主蜂須賀斉昌は参勤交代に供奉していた中山茂純を呼出し編纂を命じた。編纂にあたっては、年寄役所に保管されていた御用文や諸士・寺院・町人農民に発給した歴代藩主の判物・書状類、家中諸士系図・記録をもとにして、「渭水聞見録」「阿陽忠功伝」などによって補正し編集した。弘化二年秋、藩主に提出したが、のちに漏れたものを補い、斉昌隠居までを追加した。記載年代は天正一三年から天保一四年までで、藩主ごとに記される。記載様式は四段組で、最上段は「上ノ部」として幕府と藩主の動向、二段目は「御連枝・御家老・諸士・諸御役」として藩主一族や家老および藩士の任免・勲功、三段目は「制令・御普請金銀」として法令や土木建築、財政経済に関する記述、四段目は「雑事」として風聞や藩外の事件・災害のほか、藩士の死没一揆や庶民に関することを記す。巻一は藩祖家政と初代藩主至鎮、巻二は二代忠英、巻三は三代光隆と四代綱通、巻四―五は五代綱矩、巻六は六代宗員と七代宗英、巻七は八代宗鎮と九代至央・一〇代重喜、巻八は一一代治昭、巻九―一〇は一二代斉昌。正本は蜂須賀家が旧蔵し後藤捷一氏が入手した凌霄文庫本(四国大学蔵)のほか、伝写本として徳島市伊賀町の早雲家が所蔵していた早雲本(徳島県立図書館蔵)がある。なお天保一四年から明治元年までの一三代藩主蜂須賀斉裕の治世を記録した続編があり、平成二年鳴門古文書研究会から翻刻されている。同書の底本は蜂須賀家旧蔵で徳島市史編纂室が所蔵する。

活字本徳島県史料」一・「阿淡年表秘録」続編

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android