改訂新版 世界大百科事典 「限界濃度」の意味・わかりやすい解説
限界濃度 (げんかいのうど)
limiting concentration
物質の確認反応や検出反応において,その反応や方法によって検出されうる物質の最低濃度をいう。特異試薬との反応を利用して特定物質の確認(または検出)を行うことを確認反応と呼び,このとき確認された物質の最小質量を,その物質に対する確認限界(または検出限界)という。一方,限界濃度の概念は微少量物質の確認を目的として溶液中の物質の最低濃度を表すので,通常は溶液の単位体積1ml中のμg単位の物質量,すなわちμg/ml=ppmの単位で表示する。たとえば,確認限界1μgの確認反応によって0.05ml中に溶けている物質を検出する場合には,限界濃度は1μg/0.05ml=20μg/ml=20ppmとなる。また限界濃度の逆数を希釈限界dilution limitと呼ぶが,この場合は5×104である。限界濃度が低いほど反応は鋭敏であり,感度がよい。ただし,この概念は古典的な化学分析で用いられたもので,物質の定性のための最低濃度を表すのが一般的で,定量分析の概念は薄い。
執筆者:原口 紘炁
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