電子流を細いビームとしてこれに垂直な蛍光物質を塗ったスクリーンに当てると,ビームの当たった部分が点状のスポットとして発光する.ビームの途中に垂直な二方向に電位差 Vx と Vy を与えると,電子ビームはそれぞれの方向に偏向を生じ,蛍光物質スクリーン上のスポットも Vx,Vy に対応した位置に慣性なしに動き,Vx,Vy が時間的に変化するときはスポットもこれにつれて動く.したがって,時間tとともに変化する量を電位差 Vy(t)に変換し,Vx(t)として時間tそのものの経過をとって
Vx(t)=t
とするとき,スクリーン上のスポットは関数 Vy(t)そのものを図示することになる.陰極線オシログラフはこのようにしていろいろの現象の観測用に使われるが,同様の原理でテレビジョン用のブラウン管などが開発されている.[別用語参照]ブラウン管オシログラフ
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報