陸橋説(読み)りっきょうせつ

改訂新版 世界大百科事典 「陸橋説」の意味・わかりやすい解説

陸橋説 (りっきょうせつ)

大洋にへだてられた二つの大陸に産する化石群の間に近縁性が認められる場合があるが,この化石群の近縁性を説明するために,両大陸を連結する陸地がかつて中間の海洋部分に存在していたと考えるのが陸橋land bridge説で,例えば,アフリカと南アメリカの古・中生代化石群の近縁性を説明するため,両大陸をつなぐ大陸が現在の南大西洋域に白亜紀まで存在したとするような考え方である。この説では,海洋と大陸の地殻構成の違いを無視することになり,また両大陸の地質構造の類似性が説明できず,その後,大陸移動説によってより合理的に説明されるようになった。ただし,陸橋(陸地の連結)という考え方は,とくに新生代後半の大陸周辺の島々における大型陸上動物の分布を説明するために必要であり,日本列島へのゾウなどの渡来について〈朝鮮陸橋〉の存在が想定されている。また,大規模な陸橋の例としては,第四紀の氷期にベーリング海峡が陸化して〈ベーリング陸橋〉が生じ,これを通じてシベリアからアメリカ大陸へ人類などが移動したことが知られている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 坂本

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む