日本大百科全書(ニッポニカ) 「雁行亀裂」の意味・わかりやすい解説
雁行亀裂
がんこうきれつ
岩石や地表面に表れる亀裂の一種で、それぞれの亀裂の方向は一緒なのに、全体として斜めに配列しているもの。鳥のガンgoose(雁(がん))が斜めに並んで空を飛ぶ形にちなみ「雁行」という言葉が使われている。亀裂には、右雁行と左雁行があり、わかりやすい区別の方法として次のようなものがある。右の手のひらを見たとき中指から小指までの配列が右雁行、左の手のひらを見たとき中指から小指までの配列が左雁行である。別の表現をすると、右雁行はカタカナの「ミ」のような配列で「ミ型雁行」、左雁行は「杉」の字の旁(つくり)の部分と同じ配列なので「杉型雁行」という。地表に表れた地震断層に伴って雁行亀裂が生じることが知られており、1995年(平成7)に兵庫県南部地震を引き起こした野島断層は、右横ずれ断層であったため左雁行亀裂が生じた。地下で雁行亀裂が生じた場合は、開いた亀裂の部分に方解石や石英が充填(じゅうてん)されるため、雁行脈あるいは雁行細脈が形成される。
[村田明広]