離く(読み)サク

デジタル大辞泉 「離く」の意味・読み・例文・類語

さ・く【離く/放く】

[動カ四]間を離す。離して遠ざける。また、仲を隔てる。
「行くさには二人我が見しこの崎をひとり過ぐれば見も―・かずぬ」〈・四五〇〉
[動カ下二]
に同じ。
「天の原踏みとどろかし鳴る神も思ふなかをば―・くるものかは」〈古今・恋四〉
(他の動詞の連用形に付いて)
㋐…することで思いをはらす。
「語り―・け見―・くる人目ともしみと」〈・四一五四〉
㋑はるかに…する。
「しばしばも見―・けむ山を」〈・一七〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「離く」の意味・読み・例文・類語

さ・く【離・放】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
    1. 間を離す。ひきはなす。
      1. [初出の実例]「細絞形(ささらがた) 錦の紐を 解き舎気(サケ)て 数(あまた)は寝ずに ただ一夜のみ」(出典日本書紀(720)允恭八年二月・歌謡)
    2. 二人の仲を隔てる。ひきさく。
      1. [初出の実例]「上毛野佐野の舟橋取り放し親は佐久礼(サクレ)ど吾は離るがへ」(出典:万葉集(8C後)一四・三四二〇)
    3. ( 他の動詞の連用形に付いて、その動作をすることによって ) 思いをはらす。気を紛らす。
      1. [初出の実例]「誰にかも我が語らひ佐気(サケ)む、孰にかも我が問ひ佐気(サケ)むと」(出典:続日本紀‐宝亀二年(771)二月二二日・宣命)
    4. 遠方に目を放つ。遠くを見やる。
      1. [初出の実例]「しばしばも 見放(さけ)む山を 情(こころ)なく 雲の 隠さふべしや」(出典:万葉集(8C後)一・一七)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行四段活用 〙 [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「行くさには二人わが見しこの崎を独り過ぐれば情(こころ)悲しも 一云見も左可(サカ)ず来ぬ」(出典:万葉集(8C後)三・四五〇)

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