離婚と税(読み)りこんとぜい

知恵蔵 「離婚と税」の解説

離婚と税

離婚に伴う財産分与については、(1)婚姻中の夫婦財産関係の清算、(2)慰謝料、(3)離婚配偶者の扶養、など様々な見解がある。相続税法基本通達原則として、婚姻の取消や離婚による財産分与で得た財産は、贈与で得たものではないので贈与税をかけないとしている。一方、所得税基本通達では、財産分与によって資産の移転があった場合、その分与者が分与時の時価で、その財産を譲渡したものとしている。財産分与が婚姻中の財産関係の清算である場合は、譲渡所得が発生する余地はない。しかし現行実務ではこの通達を根拠にして「譲渡」とされ、土地・建物を分与した側に譲渡所得課税が生じる。また、相続税法では扶養義務者相互間において、日常生活に必要な生活費等を贈与した場合は贈与税をかけないとしており、子供に養育費を渡しても贈与税はかからない。

(浦野広明 立正大学教授・税理士 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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