改訂新版 世界大百科事典 「離心角」の意味・わかりやすい解説
離心角 (りしんかく)
eccentric angle
(1)楕円は,その中心を原点Oとしその長軸をx軸とする直交座標系を用いれば,(x/a)2+(y/b)2=1という形の方程式で表されるが,このとき円x2+y2=a2を楕円の補助円という。いま,楕円の周上に点Pがあるとき,Pを通ってx軸に垂直にひいた直線が補助円と交わる点のうちPと同じ象限にあるものをQとし,半直線OQがx軸の正の方向となす角をφとすれば,Pの座標(x,y)はx=acosφ,y=bsinφで表される。φを点Pの離心角という。(2)双曲線は,その中心を原点Oとし主軸をx軸とする直交座標系を用いれば,(x/a)2-(y/b)2=1という形の方程式で表されるが,このとき円x2+y2=a2を双曲線の補助円という。いま,双曲線上に点Pがあるとき,Pからx軸に垂線を下ろしてその足から補助円に接線を引き,Pが第1,第2,第3,第4象限内にあるかに応じてそれぞれ第1,第3,第2,第4象限内の接点をQとし,半直線OQがx軸の正の方向となす角をφとすれば,Pの座標(x,y)はx=asecφ,y=btanφで与えられる。φを点Pの離心角という。(3)楕円の離心率をeとすれば0≦e<1であるから,e=sinφとなる鋭角φが定まる。このφを天文学では楕円軌道の離心角と呼ぶ。
執筆者:中岡 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報