改訂新版 世界大百科事典 「電力変換」の意味・わかりやすい解説
電力変換 (でんりょくへんかん)
電気システムの中で電気エネルギーの利用のために伝送される電力について,その形態を特徴づける変数である電圧,電流,周波数(零周波数としての直流も含む),位相,相数などの量の一つ以上を実質的なエネルギー損失を伴うことなく別の形態に変えることをいう。かつては回転変流機など電気機械による電力変換も行われたが,現在はサイリスターやダイオードなどの電子的な手段を用いた静止電力変換によっている。静止電力変換を行う装置を静止電力変換装置という。
電力変換の種類
電力変換は変換するまえとあとの電力の形態が交流か直流かによって,例えば交流から直流への変換を交流-直流変換と呼ぶ。したがって電力変換には,交流-直流変換(整流,あるいは順変換ということもある),直流-交流変換(逆変換ともいう),直流-直流変換,交流-交流変換の4種類がある。
電力変換の応用
電源電力と負荷の要求する電力の形態が異なる場合に電力変換が必要となる。例えば商用交流電源でバッテリーの充電や電気分解あるいは直流電車の駆動をするときに交流-直流変換が行われ,バッテリーを電源として蛍光灯を点灯したり,交流電動機を動かすときには直流-交流変換が用いられる。しかし最近では負荷へ供給される電力量を調節し,負荷を制御する目的で電力変換が使われることが多い。調光や各種電動機の速度制御,加熱器の温度制御など広範囲に応用されている。
執筆者:正田 英介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報