電子対消滅(読み)デンシツイショウメツ

デジタル大辞泉 「電子対消滅」の意味・読み・例文・類語

でんし‐ついしょうめつ〔‐ツイセウメツ〕【電子対消滅】

電子とその反粒子である陽電子が衝突して消滅し、2個または3個の光子(γ線)が生成する過程。電子と陽電子それぞれの静止エネルギー運動エネルギーの和に等しいエネルギーをもつ光子が放出される。⇔電子対生成

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化学辞典 第2版 「電子対消滅」の解説

電子対消滅
デンシツイショウメツ
annihilation of electron pair

対消滅ともいう.陽電子が物質中でその運動エネルギーを失って,物質内の電子と結合し,γ線を放出して消滅する現象.このとき放出されるγ線は通常2個で,運動量保存のため正反対の方向に放出され,それぞれ

mc 2 = 0.51 MeV
(mは陰陽電子の静止質量,cは真空中の光速度)のエネルギーをもつ(二光子過程).陽電子が電子とポジトロニウムを形成する場合,一部は両者スピン平行なオルトポジトロニウムとなり,3個のγ線を放出して消滅する(三光子過程).二光子過程は 10-10 s 程度の時間で起こり,三光子過程は 10-7 s 程度の時間で起こる.電子対消滅では物質がエネルギーにかわる.γ線が原子核近傍で消滅し,同時に陰陽電子の対が生成される過程は電子対生成とよばれ,このときはエネルギーが物質にかわる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電子対消滅」の意味・わかりやすい解説

電子対消滅
でんしついしょうめつ

対消滅」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の電子対消滅の言及

【電子】より

… 電子の反粒子は陽電子である。電子は単独では安定で崩壊しないが,陽電子と衝突して消滅し数個の光子に転化する(電子対消滅)。また逆にγ線が物質にあたったとき,あるいは十分のエネルギーをもつ荷電粒子が原子核の周囲で急に曲げられると電子,陽電子の対がつくられる。…

※「電子対消滅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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