日本大百科全書(ニッポニカ) 「霊武」の意味・わかりやすい解説
霊武
れいぶ / リンウー
中国、寧夏(ねいか)回族自治区中部の県級市。銀川(ぎんせん)地級市に属する。人口27万6000(2014)。黄河(こうが)の東岸、銀川平原の南東に位置し、東境は万里の長城によって内モンゴル自治区と接する。関中と西北地区を結ぶ要衝の一つで、漢代には霊州(れいしゅう)県が置かれた。その後、五胡(ごこ)十六国の時代に廃置を繰り返したが、北魏(ほくぎ)代に薄骨律(はくこつりつ)鎮が置かれ、ついで霊州と改められた。以後一時期は霊武郡と称されたが、ほぼ霊州の名でよばれ、西北防御の拠点であった。1913年霊武県に改められた。1996年市制施行。
秦(しん)・漢代から灌漑(かんがい)水路が建設され、現在も秦渠(しんきょ)、漢渠とよばれ、平野部の豊かな農業生産を支えている。東部の乾燥地域では牧畜を主とする。地下資源も豊富で、石炭の埋蔵量は273億トンに及ぶとされる(2014年時点)。市北部には銀川河東国際空港がある。旧石器時代遺跡の水洞溝や恐竜化石の発掘現場などの観光資源を有する。
[秋山元秀・編集部 2017年5月19日]