非人仇討物(読み)ひにんのあだうちもの

改訂新版 世界大百科事典 「非人仇討物」の意味・わかりやすい解説

非人仇討物 (ひにんのあだうちもの)

浄瑠璃・歌舞伎脚本の一系統。1664年(寛文4)ころに大坂の歌舞伎で上演された福井弥五左衛門作の二番続きの狂言《非人敵討(ひにんかたきうち)》に始まる仇討物の類型で,非人姿に身をやつした主人公が苦心の末に首尾よく本懐を遂げるという経緯を描くことに主眼をおいた作品の総称。とくに落ちぶれた主人公が,病気や手傷のために弱った体をかばいつつ,悪人を相手に悲壮な立回りを演ずるという典型的な〈手負い事〉の場面が作中最大の眼目とされている。この役は初演の初世荒木与次兵衛の当り芸となり,次いで初世姉川新四郎に受け継がれていたが,やがて1736年(元文1)5月文耕堂三好松洛によって人形浄瑠璃に移植され,《敵討襤褸錦(かたきうちつづれのにしき)》(大坂竹本座)が作られた。以後,この作品またはその改作物が,人形浄瑠璃,歌舞伎を通じてこの系列を代表する作品となっている。なお,歌舞伎では女非人敵討も演じられた。
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