鞭毛運動(読み)ベンモウウンドウ

デジタル大辞泉 「鞭毛運動」の意味・読み・例文・類語

べんもう‐うんどう【×鞭毛運動】

鞭毛による運動細菌では螺旋らせん形の鞭毛を回転させ、精子では鞭毛自体を屈曲させて、推進する。

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精選版 日本国語大辞典 「鞭毛運動」の意味・読み・例文・類語

べんもう‐うんどう【鞭毛運動】

  1. 〘 名詞 〙 鞭毛虫類、精子などの移動摂食消化排出などのための運動をいう。この運動の特徴は波動運動で、これに振子運動、屈曲運動が伴って、前進、側進、回転などの運動を起こす。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鞭毛運動」の意味・わかりやすい解説

鞭毛運動
べんもううんどう

鞭毛の能動的運動をいう。細菌の鞭毛は普通、多数の鞭毛繊維が菌体外で束となり、束全体で螺旋波動運動(らせんはどううんどう)を示す。この運動は、螺旋形をした鞭毛繊維が、螺旋軸を軸として回転することに基づく。回転の原動力は鞭毛繊維と菌体の軸受け型接合部に発生する回転力であるとされる。この回転は反転することがあり、その際、鞭毛繊維束のほぐれを伴うタンブリングtumblingとよばれる複雑な運動がおこり、これにより細菌は遊泳方向を変えることができる。一方、真核細胞の鞭毛はそれ自身の能動的屈曲による平面的または立体的波動運動を示す。同一の鞭毛でも2、3種類の運動型を示すことがある。これにより、複雑な遊泳行動を行うこともできる。真核細胞の鞭毛は繊毛と共通の内部構造をもち、運動機構も基本的には同一と思われる。鞭毛運動により媒質と鞭毛との間に働く力は、おもに媒質の粘性によるもので、水力学的考察によって予測することができる。

[馬場昭次]


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