日本大百科全書(ニッポニカ) 「韓国四月革命」の意味・わかりやすい解説
韓国四月革命
かんこくしがつかくめい
1960年4月に韓国(大韓民国)で起こり、李承晩(りしょうばん/イスンマン)政権を崩壊させた反政府暴動をいう。学生デモが発端となったことから、韓国では四・一九学生革命ともよんでいる。1948年8月の大韓民国成立とともに大統領に就任した李承晩は、アメリカの援助に頼りつつ、極端な独裁政治によって政権を維持してきた。アメリカがドル防衛策の一環として58年から対韓経済援助の削減を開始すると、韓国経済は急激に悪化し、民衆の生活困難が増大した。60年3月、李承晩派の不正選挙糾弾という形でソウル、馬山(ばさん/マサン)、釜山(ふざん/プサン)などで始まった学生デモは、一般市民をも巻き込んで、しだいに全国各地に波及し、4月19日には死者100人を超えるソウルでの大暴動に発展した。李大統領は辞任に追い込まれ、ハワイに亡命した。この暴動は多分に自然発生的なもので、体制変革には至らず、厳密にいえば革命ではなかった。
[川越敬三]