精選版 日本国語大辞典 「響動む」の意味・読み・例文・類語
どよ・む【響動】
- ( 古くは「とよむ」 )
- [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙
- ① 音が鳴り響く。どよめく。
- ② 平穏を乱して騒動が起きる。騒動する。
- [初出の実例]「物部大連が軍衆(いくさ)三度(みより)、驚駭(トヨム)」(出典:日本書紀(720)崇峻即位前(図書寮本訓))
- ③ 傷などが、ずきずきと痛む。うずく。
- [初出の実例]「殊に今日は土用の入、それでか跡がきつうどよむ」(出典:浄瑠璃・大経師昔暦(1715)中)
- [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 鳴り響かせる。とよもす。
- [初出の実例]「夜を長み眠(い)の寝らえぬにあしひきの山彦等余米(トヨメ)さ男鹿鳴くも」(出典:万葉集(8C後)一五・三六八〇)
響動むの語誌
( 1 )「とよむ」が「どよむ」に変わったのは平安中期以後と思われる。古くは人の声よりはむしろ、鳥や獣の声や、波や地震の鳴動など自然現象が中心であったのに対して、濁音化してからは、主として人の声の騒がしく鳴り響くのに用いられるようになった。
( 2 )この語の「どよ(とよ)」は「どよめく」「とよもす」などと同様に擬声語から出たものと考えられる。