日本大百科全書(ニッポニカ) 「頭蓋示数」の意味・わかりやすい解説
頭蓋示数
とうがいしすう
cranial index
頭示数ともいう。身体計測法において、脳頭蓋の形を示す示数で、百分比で表す。広義には、頭蓋長幅示数(頭蓋最大長に対する最大幅の比)、頭蓋長高示数(頭蓋最大長に対するバジオン・ブレグマ高の比)、頭蓋幅高示数(頭蓋最大幅に対するバジオン・ブレグマ高の比)をあわせたものをいう(頭蓋計測法において頭頂に相当して定義された計測点をブレグマ、頭蓋底のある点をバジオンとよぶ)。狭義には、以上三示数のうちとくに頭蓋長幅示数をさし、このほうがはるかに一般的に用いられる。なお、生体の頭部についても類似した示数があり、これを頭(とう)示数cephalic indexという。狭義の頭蓋示数を三つに分け、示数が74.9以下のものを長頭型、80.0以上のものを短頭型、中間のものを中頭型とよぶ(生体の頭示数の場合は、頭蓋示数にそれぞれ1.0を加える)。すなわち、上面観では、長頭は前後に長い長円形に近く、短頭は丸みを帯びてくる。化石人類ではほとんどが長頭であるが、現生人類では人種によりまちまちであり、以前は人種分類上重視された。しかし、近年、時代的変遷とともに短頭に傾く現象(短頭化現象)が世界の各地で観察されるようになり、それに加えてまた頭の形の生物学的根拠が不明のままでいるところから、頭蓋もしくは頭示数は以前ほどには重要なものとみなされなくなった。
[香原志勢]