頭の形を表す示数で,百分率で表す。
一般に,頭示数といえば頭長幅示数をさす。生体計測では,頭長幅示数は頭幅÷頭長×100で計算され,頭部を上から見た時の形が丸いか前後に細長いかを表す。頭長はグラベラ(頭部を耳眼面水平に保持したときの,正中線上で眉間部の最も前方の点)から後頭部正中線までの最大長,頭幅は矢状面に直交するように測った脳頭蓋の最大幅である。頭長幅示数の値により,頭型を表のように分類する。頭蓋計測では,生体の場合と同様に頭蓋最大長と頭蓋最大幅を測り,頭蓋長幅示数を計算する。頭蓋長幅示数に基づき頭型を表のように分類する。
アフリカ系,ヨーロッパ系集団は頭長幅示数が小さく脳頭蓋が前後に細長い傾向があるが,日本人など東アジア系集団では頭長幅示数が大きく,脳頭蓋が前後に短くまるい傾向がある。日本では,鎌倉時代に最も頭長幅示数が小さく,以後は増加してきた。この短頭化現象は,19世紀の終盤に生まれた世代以後急速に進み,1950年代以後に生まれた世代の日本人成人の頭長幅示数は,平均して86前後である。日本国内の地域差としては,1910年代から1960年ごろまでは近畿地方を中心として短頭の地域が分布していたが,短頭化が進むとともに国内の地域差も変化した。
生体では頭耳高÷頭長×100,頭蓋ではバジオン・ブレグマ高÷頭長×100で計算される。頭耳高はトラギオン(耳珠点)からベルテックス(頭頂点)までを耳眼面に垂直に測った高さ,バジオン・ブレグマ高はバジオン(大後頭孔の前縁の正中点)からブレグマ(矢状縫合と冠状縫合の交点)までの直線距離である。頭長高示数の大きさによって頭型を表のように分類する。この示数は頭部の側面観の高低を示す。ほとんどの集団は正頭型または高頭型であって,長径に対する高径が大きい。著しい高頭型はイヌイット,日本人,北中国人であり,低頭型に近いのはモンゴル人,アボリジニーなどである。
生体では頭耳高÷頭幅×100,頭蓋ではバジオン・ブレグマ高÷頭幅×100で計算される。この値の大小により頭型を表のように分類する。この示数は頭部の後面観の高低を示す。ある集団では長幅示数と長高示数は同じように上昇する。すなわち長頭型は同時に低頭型であり,短頭型は高頭型にかたむく。しかし,これには例外も存在する。モンゴル人は平頭型であり,中国や朝鮮では尖頭型に近く,日本では尖頭型が多い。頭長高示数,頭幅高示数は,人類進化に伴う脳頭蓋の形態変化をよく反映する。
→人体計測法
執筆者:河内 まき子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…頭型の人類学的価値ははなはだ重要である。種々の人種の頭型を比較するために頭示数cephalic index of the livingというものが用いられる。これは(頭幅÷頭長)×100で,したがって〈頭の長幅示数〉とも称せられる。…
…寒い所では空気を暖めて気管に入れる方が適応的であり,暑い所では広い鼻孔からさかんに呼気を出して体熱を発散させるのが有利である。 頭型は人類学でつねに重視されてきた形質で,とくに頭長に対する頭幅の百分率を頭示数(76~80.9が中頭,もっと大きければ短頭,小さければ長頭)に関する統計は充実している。先史時代から長頭がしだいに短頭化する一般的傾向が,白人やアジアの住民で顕著であり,これを短頭化brachycephalizationと呼ぶ。…
※「頭示数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新