日本大百科全書(ニッポニカ) 「食用ガエル」の意味・わかりやすい解説
食用ガエル
しょくようがえる
edible frog
食用とするカエルをさすが、一般にはウシガエルRana catesbeianaの通称として用いる。ウシガエルは北アメリカ原産の種で、1919年(大正8)に日本に移入されたのち、各地で野生化した。カエルは世界各地で食用に供され、ウシガエルのほか、ヨーロッパトノサマガエルR. esculentaの仲間やトラフガエルR. tigrinaが有名である。後者は東南アジアや中国の水田地域に広く生息し、体長10センチメートル前後。中国では田雞tian-jiとよばれて賞味される。一般にアカガエル科の大形種が食用に供されるが、東南アジアでは小形のヌマガエルR. limnocharisやカニクイガエルR. cancrivoraその他の種も食用とされる。ヒキガエル類は皮膚に有毒物質を含むため、大形であるにもかかわらず利用されない。日本内地にはカエルを食べる習慣がないが、琉球(りゅうきゅう)諸島の一部ではホルストガエルR. holstiなどの大形種が食用とされた。
[倉本 満]
一般には骨つきの後肢を用いる。味は鶏肉を淡泊にしたような感じで、くせがないから、各種の料理に使用できる。フライ、シチュー、つけ焼きなどにする。ウシガエルの肉は冷凍で出回っている。また、中国南部や台湾ではトラフガエルなど小形のカエルを炒(いた)め、スープなどにして食べることが多い。
[河野友美]