ヌマガエル(その他表記)Southeast Asian rice frog
Rana limnocharis

改訂新版 世界大百科事典 「ヌマガエル」の意味・わかりやすい解説

ヌマガエル
Southeast Asian rice frog
Rana limnocharis

アカガエル科カエル。東海地方以西の本州四国九州南西諸島および台湾,中国,東南アジア,インドに広く分布し,各地でもっともふつうに見られる。体長4~7cm。体背面茶褐色で黒褐色の不規則な斑紋があるが,形態や色彩,斑紋は地方によって変異が多い。背中線上を走る白色線模様の出現率は生息地域によって異なり,まったく現れない地方もある。八重山列島産の個体群では大半の個体に幅広い白色線模様が認められ,また後肢が長くて跳躍力が優れる。日本本土ではトノサマガエルツチガエルと混生することが多く平地水田,池沼の周辺に見られ,昆虫クモなどを食べる。行動は敏しょうでない。しかし,八重山列島産のものは個体も大きく行動が敏しょうで,山地にも生息している。産卵は本州では5~6月ころに行われ,30~50個ほどずつの小卵塊が水面に浮かんで草などに付着する。産卵総数は800~1000個ほど。
アカガエル
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヌマガエル」の意味・わかりやすい解説

ヌマガエル
ぬまがえる / 沼蛙
[学] Rana limnocharis

両生綱無尾目アカガエル科のカエル。インドから東南アジアにかけて広く分布する東洋区系のカエルで、日本では東海地方以西の本州、四国、九州、琉球(りゅうきゅう)諸島、中国では黄河以南に分布する。低地性で山間部にはいない。体長4センチメートル前後。背面は褐色で不規則な暗斑(あんはん)があり、多数の縦隆起がある。腹面は白色で平滑。雄ののどは黒っぽい。日本内地には黄白色の細い背中線をもつ個体がいるが、奄美(あまみ)諸島、沖縄諸島にはいない。八重山(やえやま)諸島のものは大形で体長6センチメートル以上に達し、背中線をもつ個体が多い。夏期に水田や湿地、水たまりで繁殖する。鳴き声は大きい。卵径約1ミリメートル、卵数約1000個。卵塊は小さく不定形である。

[倉本 満]

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百科事典マイペディア 「ヌマガエル」の意味・わかりやすい解説

ヌマガエル

両生類アカガエル科。体長4〜7cm。体の背面は灰褐色で黒斑が点在し,地方によって色彩,斑紋に変異が多い。中部以南の日本各地,台湾,東南アジアに広く分布。水田付近に多く,低い山地の流れにもすむ。夏季,静水中に産卵。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヌマガエル」の意味・わかりやすい解説

ヌマガエル
Rana limnocharis

カエル目アカガエル科。体長 6cm内外。背面は暗緑色で,頭,胴および前後肢に黒色斑がある。腹面は白あるいは黄白色。山地や平地の湿地,水田などにすむ。本州南部,四国,九州,琉球列島,東南アジアなどに分布する。

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