日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウシガエル」の意味・わかりやすい解説
ウシガエル
うしがえる / 牛蛙
bull frog
[学] Rana catesbeiana
両生綱無尾目アカガエル科のカエル。大形種で、食用にするため食用ガエルともよばれる。分布域は本来アメリカ合衆国のほぼ東半分であるが、世界各地に人為的に移入され野生化している。日本には1918年(大正7)に初めて移入され、現在では北海道南部から沖縄まで広く分布する。最近では食用とすることが少なくなり、実験用動物としての需要が増えている。
背面は緑色または暗褐色で不規則な黒斑(こくはん)が散在し、腹面は白色地に同様の淡褐斑がある。鼓膜が大きく、とくに雄で著しい。体長10~18センチメートルで、池や沼、大きな溝、流れの緩い河川などの比較的深い水域に生息するが、幼体は浅い水域にもみられる。低地の開けた場所に多く、山間部や森林内ではみられない。産卵期は初夏で、雄は1匹ずつ縄張り(テリトリー)をつくり、水面に浮かんでウシに似た鳴き声を発する。卵は小形で径約2ミリメートル、1万個以上の卵が水面に広がって大きな膜状の卵塊となる。幼生は水底で越冬し、翌年の夏には全長12センチメートルほどに成長して変態する。幼体、成体とも水辺を離れることは少ないが、大雨の夜には道路上にも出没する。
[倉本 満]