馬場氏(読み)ばばうじ

改訂新版 世界大百科事典 「馬場氏」の意味・わかりやすい解説

馬場氏 (ばばうじ)

馬場は武士が馬の調練を行う所であり,地名にも多く,名字としてもよく用いられた。次におもなものをあげる。(1)尾張国造家流 平安中期以来,尾張の熱田社の総検校職を世襲した。(2)清和源氏 摂津源氏源頼光曾孫にあたる源仲政が馬場を称した。仲政は従五位上,兵庫頭で,平氏打倒の兵をあげた源頼政の父である。甲斐の武田氏の家臣に馬場氏があり,この系統と称している。ただし別に武田氏の一族にも馬場氏がある。やはり清和源氏であるが,義光(頼義の子,義家の弟)の流である。(3)桓武平氏 平維幹(国香の孫,繁盛の子)に発し,常陸大掾を世襲する大掾(だいじよう)氏の一族で,同国那珂郡馬場を本拠とする。大掾氏一族の惣領多気義幹は同じ常陸の八田知家と対立し,1193年(建久4)知家の讒言ざんげん)で岡部泰綱に預けられ,所領は没収の上,支流の馬場資幹に与えられた。この後,馬場氏が一族の惣領家として大掾を世襲したが,1590年(天正18)豊臣秀吉に滅ぼされた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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