改訂新版 世界大百科事典 「馬鞍山」の意味・わかりやすい解説
馬鞍山 (ばあんざん)
Mǎ ān shān
中国,安徽省東部,江蘇省との省界に接し,長江(揚子江)右岸に位置する省直轄市。人口57万(2000)。ここはもともと当涂県に属する地であったが,長江沿岸の馬鞍山に産する鉄鉱石をもとに発達した工業地区を1956年独立させて市としたもの。南京,蕪湖と鉄道で通じ,鉄鋼を中心とした工業都市となっている。市の南西,翠螺山が長江に没する地点は急崖をなし,古くから長江を扼(やく)する要衝の一つであった。かつて金牛が渚岸より出現したため牛渚磯,また五彩の石を産するところから采石磯と呼ばれ,南京の燕子磯,湖南岳陽の城陵磯と並んで長江三磯と称される名勝である。唐の李白は晩年ここに暮らし,船中で水に映る月をとらえようとして溺死したと伝えられ,それを記念した太白楼,捉月台などがある。
執筆者:秋山 元秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報