日本大百科全書(ニッポニカ) 「高等学校等就学支援金」の意味・わかりやすい解説
高等学校等就学支援金
こうとうがっこうとうしゅうがくしえんきん
High School Tuition Support Fund
国・公・私立を問わず、高等学校の授業料の一部を国が支給する制度。略称は「就学支援金」。高校生のいる家庭の教育費負担を軽減する目的で、2010年(平成22)4月に施行した「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(高校無償化法、平成22年法律第18号)に基づき、2010年度から導入された。当初、高校生のいる世帯すべてに支給されていたが、2014年4月の高校入学者から所得制限を導入し、モデル世帯(夫婦・子供2人)で年収が約910万円(市区町村民税のうち所得に比例する所得割額が30万4200円)未満の場合にのみ支給される。支給額は、国公立が全日制で月9900円、定時制で月2700円、通信制で月520円。私立は全日制・定時制・通信制ともに月9900円である。私立は教育負担がかさむため、年収250万円未満の場合で月2万4750円、年収250万~350万円の場合で月1万9800円、年収350万~590万円の場合で月1万4850円まで加算されて支給される。このほか低所得者向けに、授業料以外の教材費、通学用品費、校外活動費などの経済的負担を軽減する高校生等奨学給付金制度(年額3万2300円~13万8000円、都道府県によって制度は異なる)がある。就学支援金の支給対象は国公私立高校のほか、中高一貫教育を実施する中等教育学校後期課程、障害者らが通う特別支援学校高等部、高等専門学校(1~3学年)、専修学校(高等課程)、アメリカンスクールなどの外国人学校に通う高校生で、一度高校を卒業したことのある生徒などは対象外である。支給期間は36か月。就学支援金を受け取るには、生徒が学校を通じて保護者(親権者)の課税証明書等と申請書を都道府県へ提出する必要がある。国は支援金を都道府県へ交付する。学校は支援金を生徒にかわって受け取り、授業料にあてる。
[矢野 武 2016年10月19日]