高等専門学校(読み)コウトウセンモンガッコウ

デジタル大辞泉 「高等専門学校」の意味・読み・例文・類語

こうとう‐せんもんがっこう〔カウトウセンモンガクカウ〕【高等専門学校】

中学校卒業者またはそれと同等以上の学力を有する者に対し、専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とする学校。工業または商船に関する学科を置き、修業年限は5年または5年6か月。高専。

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精選版 日本国語大辞典 「高等専門学校」の意味・読み・例文・類語

こうとう‐せんもんがっこうカウトウセンモンガクカウ【高等専門学校】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 旧学制下で、高度な専門教育を行なった学校の通称
    1. [初出の実例]「弘文学院は〈略〉文部省直轄の各高等専門学校へ連絡を通じ」(出典:風俗画報‐二八二号(1904)牛込西五軒町)
  3. 工業の発展に伴う科学技術者養成の急務によって設置された高等教育機関。専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とする。工業、商船の二課程がある。中学校卒業を入学資格とし、修業年限五年。昭和三六年(一九六一)学校教育法の一部改正によって発足。高専。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高等専門学校」の意味・わかりやすい解説

高等専門学校
こうとうせんもんがっこう

中学校卒業程度を入学資格とする、5年制の高等専門教育の機関である。高専ともいう。その教育の目的は、「深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成すること」(学校教育法115条)にある。この学校は、1962年度(昭和37)に設置され、その創設趣旨は、当時の高度経済成長政策に伴い工業に関する中堅技術者を養成することにあった。また、これにより、学校制度上、義務教育修了後上級学校へ進学しようとする者に対して、もう一つの新しい進路が開かれることになった。当初は、工業に関する学科を置くものとされたが、1967年度からは商船に関する学科を中心とする学校も設置されるようになった。教育課程履修には、学年制が採用され、5年(商船に関する学科は5年6か月)間を通ずる一貫した教育が行われる。2022年度(令和4)の学校基本調査(文部科学省)によると、高等専門学校は全国に57校(国立51校、公立3校、私立3校)設置され、生徒数は約5万7000人である。もっとも多く設置されている学科は機械工学科で27校、次いで電子制御工学科13校、情報工学科が12校ある。商船学科は5校で設置されている。なお、高等専門学校につながる高等教育機関として、大学院修士課程をもつ技術科学大学が1976年度(昭和51)から設置された(2023年時点で2校)。

[真野宮雄・編集部 2023年6月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「高等専門学校」の意味・わかりやすい解説

高等専門学校 (こうとうせんもんがっこう)

産業界の要請を背景に,中堅技術者不足を解消する目的で,1961年学校教育法を一部改正して新たに設けられた学校。62年度から発足。中学校卒業者を対象として,5年(一部5年6ヵ月)の一貫教育を与えることが特色であり,その意味では高等学校と短期大学を一本化したものということができる。発足当初は工業学科のみであったものが,67年度からは商船高等専門学校が創設され,71年度からは電波高等専門学校が新設された。その多くは国立であり,96年現在,総数62校中54校が国立,5校が公立,3校が私立となっている。国公立の学校数は1975年以降変化していないが,私立はピーク時の7校のうち4校減少した。高校,短大,大学がいずれも拡大するなかにあって,高等専門学校のみが拡大をみなかったのは,第1にこのコースが当初は短大レベルまでの袋小路となっていること,第2には,中学校卒業時点ですぐにこうしたコースを選択することが困難であること,などから志願者があまり増加しなかったためである。そのため76年には技術科学大学を新たに設け,袋小路解消のための方策がとられた。77年4月より発足した長岡技術科学大学および豊橋技術科学大学では,工業高等学校卒業者を第1年次に,工業高等専門学校卒業者を第3年次に受け入れている。96年度現在,高等専門学校の学生数は約5万6000名である。卒業者のうち,さらに進学する者の割合は年々上昇してきており,96年現在の進学率は24.4%となっている。
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百科事典マイペディア 「高等専門学校」の意味・わかりやすい解説

高等専門学校【こうとうせんもんがっこう】

学校教育法の一部改正によって1962年発足した学校で,専門の学芸の教授と職業に必要な能力の育成を目的とする。国・公・私立の別があり,工業または商船に関する学科を置く。入学資格は中学校卒業で,5年制(商船学科は5年6ヵ月)。中級技術者の養成を主眼とする。国立の高等専門学校55校は,2003年10月から独立行政法人・国立高等専門学校機構のもとに置かれることになった。→専門学校
→関連項目学位授与機構学校工業高等専門学校高等教育職業教育大学設置審議会

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大学事典 「高等専門学校」の解説

高等専門学校
こうとうせんもんがっこう

「深く専門の学芸を教授し,職業に必要な能力を育成することを目的」とし,中学校卒業者を入学させ,5年(商船学科は5年6ヵ月)の教育を行う学校。旧制の専門学校レベルの技術者教育を求める産業界からの要請に応え,また折からの政府の理工系拡充策の一端を担うものとして1961年(昭和36)に発足した。2016年現在で校数は57校(国立51校,公立3校,私立3校),うち4校が商船系,ほかは工業系を中心とする学校で(1校は商船系・工業系両方),大半が1960年代の創設である。在学生の総数は5万7611人で(2015年5月),1990年代からほぼ横ばいである。1991年以降,卒業者が準学士を称することが可能となり,また専攻科が設置され,その修了者には学士が与えられることになった。近年は卒業後に大学に編入学する者も多く,専攻科に進む者を含め4割近い卒業生が進学している。国立校では統合により学科の多様性を増やすなど改革の動きもみられる。就職者に対する雇用者の評価は高いといわれ,卒業生の就職状況は他の高等教育機関に比べるときわめて良い。
著者: 伊藤彰浩

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高等専門学校」の意味・わかりやすい解説

高等専門学校
こうとうせんもんがっこう

高等学校と同様に中学校卒業を入学資格とし,「深く専門の学芸を教授し,職業に必要な能力の育成を目的とする」学校。工業をはじめ,職業に関する学科を置き,修業年限は5年。その設置については高等専門学校設置基準が定められている。中堅技術者養成に対する経済界の要請に基づき,1962年度から設置された。ほとんどが国立であり,当初は工業だけであったが,その後,商船が加わり 1991年の設立基準の改正により,たとえば農業,商業など,他の分野をも教育の対象に加えうることになった。 2004年国立大学の法人化に伴い,全国の国立高等専門学校の設置・運営を目的として,独立行政法人国立高等専門学校機構が設立された。

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