日本大百科全書(ニッポニカ) 「魔法使いの弟子」の意味・わかりやすい解説
魔法使いの弟子
まほうつかいのでし
L'Apprenti sorcier
フランスの作曲家デュカースの交響詩。ゲーテの同名のバラードに基づいたスケルツォ風の管弦楽曲で、1896年作曲、翌年パリ初演。デュカースの出世作であると同時に、彼の代表作として広く親しまれている。ゲーテの原作の大意は次のとおり。ある日、魔法使いの師匠が外出した留守に、その弟子は見よう見まねで箒(ほうき)に魔法をかけ、水くみの仕事をさせる。箒は働き始め、弟子は得意になるが、この魔法を解く呪文(じゅもん)を知らなかったため家中がくみ上げた水で大洪水となる。そこへ師匠が帰宅し、呪文を唱えると、水はみるみるうちに引いていく。デュカースは巧みな管弦楽法と生き生きとしたリズムで、この風刺に満ちたバラードを洒脱(しゃだつ)にまとめ上げている。
[三宅幸夫]