日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュカース」の意味・わかりやすい解説
デュカース
でゅかーす
Paul Dukas
(1865―1935)
フランスの作曲家、音楽批評家、教育者で、フランス近代音楽の黄金期を代表する1人。パリに生まれ同地に没。1882年にパリ国立音楽院に入学、同級のドビュッシーと親友になるが、彼とは対照的な作風をもつ。すなわち、印象主義を開拓したドビュッシーとは異なり、デュカースはベートーベン、ワーグナー、フランク、ダンディらの豊かな管弦楽法と、18世紀のラモーの古典精神を継承している。前者の例にはゲーテの詩による交響的スケルツォ『魔法使いの弟子』(1897)、バレエ用の管弦楽曲『ラ・ペリ』(1910)があり、後者を代表する作品は『ラモーの主題による変奏曲・間奏曲・終曲』(1903)である。オペラ『アリアーヌと青ひげ』(1907初演)は、同じメーテルリンク原作のドビュッシーのオペラ『ペレアスとメリザンド』と並ぶ傑作である。パリ国立音楽院、エコール・ノルマルで教え、批評家としても活躍、また『ラモー全集』などの編集にも携わった。
[船山信子]